January 14, 2011

シリアvsニッポン@アジア・カップ2011カタール

シリア●さっそく来たーーー! この混沌がアジア・カップ。ザッケローニ監督は「こりゃ大変なところに来ちまったぞ、おい」と思っているのでは。シリア対ニッポン
●主役は主審(えー、やっぱりそのパターンなの……)。とはいえ、試合そのものは悪くなかった。ニッポンの先発は前の試合と同じ。GK:川島(→退場)、DF:内田、今野、吉田、長友-MF:長谷部、遠藤-香川(→岡崎)、本田、松井(→細貝)-FW:前田(→GK:西川)。
●まず試合前にびっくりしたのは、ヨルダンが1-0でサウジアラビアを下したこと。サウジはシリア、ヨルダンに2連敗したわけで、中東の勢力図が大きく塗り替えられていることを感じる。そしてシリアにはサウジ戦に続いて大勢のサポーターが味方についた。ニッポンにとっては完全アウェイ。で、シリアはキックオフからニッポン相手に攻めてきた! 攻めるとなると後ろからどんどん選手が押し上げてくるし、守るときはきちんと組織的にプレスをかけて、ラインの間をコンパクトに保つ。アラブにもこんなサッカーするところが出てきたのか。
●こうなると普段とは逆でむしろニッポンのカウンターアタックを期待したくなる。前半はシリアが主導権を握っていたと思う。選手のフィジカル・コンディションもシリアが上。特にニッポンはシーズンオフのど真ん中で参加したJリーグ勢が苦しいということなのか、前線で前田がまったく競り合いに勝てない(しかも試合を通して3度ほど決定機があったのに不発。らしくない)。ところが前半35分、本田が右サイドをえぐってマイナス方向にクロス、これを受けた香川が切れ味鋭い切り返しで相手を交わしてシュート。これで決まるべきところだがキーパーが弾き、松井のもとへ。キーパーが前に出ていたがシュートコースが見つからず、押し上げてきた長谷部にボールを落とし、これを長谷部が無人のコースを冷静に狙ってゴール。0-1。この後、明らかにシリアの選手は下を向いてプレイするようになった。さっきまでは自信を持ってプレイしていたのに。
●これで2点目が入っていれば、「普通の試合」で終わっていた。が、後半26分にアジア風味の事件が。自陣深くで相手プレッシャーを受けた長谷部がキーパー川島にバックパス。このパスが緩くディフェンスに詰められたため川島が苦し紛れのクリア。これが相手に渡ってしまい、今野が当たりに行く。こぼれたボールを受けた19番の足元に川島が手を出して笛。主審はPKの判定だが、副審はオフサイドと明確に旗をあげた。ワタシはオフサイドだと思う。相手のパスだから。でも主審は今野のバックパスと解したのか。まあ、こりゃないわな。ニッポンは激しく抗議したが、川島にレッドカードが掲げられ、急遽フォワードの前田を下げて控えキーパーの西川を投入。西川はいきなりPKだ。止まるわけない。1-1。
●このシリアのPKのとき、シリア・ベンチでボロボロと涙を流しながら地に伏して成功を祈ってる選手がいるんすよ。「勝ちたいという気持ち」で試合が決まるんならシリアが楽勝だ。
●そして、さらにカオスが続くのがアジアの真骨頂。この後、シリアの選手もニッポンの選手も「主審マネージメント」を意識したプレイを始めた(笑)。どうやってうまく主審に笛を吹かせるか。シリアは狡猾なところを見せようとしたが、そもそも主審には「ミスをしてしまった。バランスを取らなければいけない」という気持ちが強く働いていたようだ。後半35分、長いボールを受けた岡崎がペナルティエリア内で自分から相手に当たって、勝手に自分で倒れた。はい、笛が鳴ってPKです。ワタシがシリアのサポーターなら怒髪天を衝く。そしてPKのキッカーは遠藤ではなく本田。本田はこれをあろうことか、ど真ん中の低目という危険な場所に蹴ったが、キーパーが先走って飛んでいてくれたのでゴール。1-2。終了後のインタビューでは本田は意図しないコースにボールを蹴ってしまったと示唆していた。ちなみに本田は肉弾戦でも相手に勝利できてて、ワールドカップ以来の頼もしさ。マン・オブ・ザ・マッチだな。
●この後、ひとり少ないニッポンはひたすら守る消耗戦に。西川にファインセーブがあった。後半50分にわけのわからんカードが出てシリアの選手が退場してくれて(律儀です、主審)10人対10人になる。ニッポンは守ってカウンター。ロスタイムは……えっ、6分もあるの? 長いドタバタが続いて幕。
●ニッポンはよくやった。立派だ。ザッケローニさんへ。えと、アジアはいつもこんな感じっす。サッカーを通じて知る被虐の悦び。アジア・カップに慣れるとワールドカップが退屈な大会に思えてくるから。

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