ドミノ・ピザ
February 9, 2011

ブリュッヘン/新日本フィル「ベートーヴェン・プロジェクト」第1回

●ふう。一週間ウィーンの旅から帰国。えっと、ドゥダメル指揮LAフィルとか話題にしてますが、これ取材でもなんでもなくて、聴きたくて自主的に勝手に行ってきただけなので、どこかに記事が載るとか近く来日するとかそういう話ではありません(笑)。4年ぶりのウィーンだったんだけど、楽しかったなー。ユーロ安は精神衛生上も吉。
●で、帰って早々に演奏会へ。ブリュッヘン指揮新日本フィル「ベートーヴェン・プロジェクト」第1回。9曲を順に4回。つまり第1回は第1番~第3番「英雄」までの長丁場。この長さは多少ムリしている感はあるけど、しかし「英雄」までたどり着く必要性があったんだろう。第2と第3の間の大きな飛躍については記者会見でもブリュッヘンが口にしていたと思うが、確かに1番&2番が前フリだったのかと思うほど。ブリュッヘンはゆっくりゆっくり歩くんすよ。で、「英雄」もゆっくりゆっくり指揮台までやってきて、いすに腰掛ける……と見せかけて、なんと座らずにいきなり棒を、いや棒は持ってないから、腕を振った! なんというフェイント。でもオケはちゃんと出た、どうも事前打ち合わせがあったわけではなさそうな雰囲気なのに。拍手を「英雄」冒頭和音で打ち消されて、お客さんはみなビックリ。まさかこんな老いた指揮者がカルロス・クライバーみたいなことをやるとは。「英雄」はお決まりの名曲モノではなく、衝撃的な問題作なのだとあれで宣言されたのだろう。
●多くの人がベートーヴェンの交響曲に期待するような、躍動感や推進力、壮麗さといった要素は限りなく希薄。もっとゴツゴツとした手触りの、寂莫たる荒地のような厳しくて美しいベートーヴェン。特に「葬送行進曲」にはゾクゾク。死者も思わず背筋を伸ばしてしまうような……いやそれではゾンビになってしまうか、でもそんな鬼気迫るモノローグ。しかし老人の独白のようでいて、ユーモアというか茶目っ気もたっぷりで、ブリュッヘンはそこがいいっすね、断然。よく指揮者で棒じゃなくて鼻息とかで合わせちゃう人いるじゃないすか。ブリュッヘンはそれどころじゃないっすよ。口で「シュシュシュシュ」みたいに言ってテンポを示したり、静かにすべきところで「シーッ」って言っちゃったりする、本番なのに(笑)。よいね、よいね。巨匠芸はこうでなくっちゃ。続きにさらなる期待。

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