April 19, 2011

カンブルラン指揮読響第503回定期演奏会

●「今、この日本にいることを嬉しく思う」といって来日してくれた読響常任指揮者カンブルラン。基本、この人はカッコいいっすよね。そして前にも思ったけど、今回もサービス満点のプログラム(サントリーホール)。プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」抜粋、ラヴェルのピアノ協奏曲、休憩を挟んで同じくラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲とボレロ。ラヴェルを両方弾いてくれたのはロジェ・ムラロ。で、冒頭にまず震災の犠牲者を悼んでと演奏してくれたのがメシアンの「忘れられた捧げもの」から「聖体」。本領発揮。ムラロもアンコールとしてメシアンのプレリュードから一曲弾いてくれたので、ただでさえ盛りだくさんのプログラムがさらに強まる特盛マウンテン状態。頼んでもいないのにライスをてんこ盛りにしてくれる食堂のおばちゃんみたいなお得感。
●後半のプログラムが楽しかった。ムラロは長身痩躯剃髪、下肢が長くて風貌は怪人系。鬼気迫る「左手」は圧巻。この曲をほぼメイン・プログラムのようにして聴くチャンスはあまりないのでは。オケもよかった。この曲はワタシにとってはラヴェルの中では例外的に苦手な曲で、非常にシリアスで強迫的なんだけど、どこかからは歪んだ笑いもあるはずでその境界が判然としないというか、特にあの唐突なフィナーレはどう受け取ったらいいのか困惑するばかりなんだが……ダサカッコいい、のかな。
●最後は爽快にボレロ。いつも聴く前まではどちらかというと憂鬱な曲なんだけど(耳にする機会は多いし、あれこれ心配だし)、聴くと猛烈に気分が高揚する、ウヒョー、ボレロ最強ーって叫びたくなるくらいには。

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