October 20, 2011

コーナーキックはチャンスか?

作戦盤●昔、Jリーグが始まったくらいの頃、サッカー中継で解説者が言ってたこと。「コーナーキックはチャンスですよ。だいたい5回に1回くらいはゴールになります」。誰だったかなあ、有名な元選手だったと思ったが。当時は「へえ、そんなものか」と真に受けた。
●先日、サッカーにおけるコーナーキックからの得点確率は約2%と書いた。出典とした「数字で見るコーナーキック」(soccercoaching.jp) によれば、2010年ワールドカップ大会では627回のコーナーキックが蹴られ、これが味方につながって、ペナルティエリア内でシュートして入ったゴールが9つ。これだと70回に1回しか入らないことになるが、実際にはディフェンスの中途半端なクリアを味方が拾ってゴールしたとか、いろんなケースがある。なので、そういったクリアミスとかショートコーナーからのクロスボールなんかも含めると、トータルで16ゴールが生まれている。すなわち40回に一回くらいがゴールになる。
●まあ、ワールドカップ1大会分というのは標本数として少なすぎるが(成功したゴール1個の増減で得点確率がかなり変わってしまう)、それでも桁が違うほどではないだろう。真実は1%から3%のあたりのどこかにあるんじゃないかな(本気で調べればわかりそうだが、そこまでは追わない)。これは世界トップレベルでは(しかも守備的に戦いがちな大会で)という条件なので、国内リーグ戦なんかだと成功率はもう少し高めになるかもしれない。いずれにせよ、「5回に1回」なんてことはない。少なくともワールドカップでは「40回に1回」だった。コーナーキックからゴールが生まれる確率はかなり低いのだ。
●でも、解説者の「5回に1回」もよくわかるんである。だって感覚的にはそれくらいありそうな気がするんだから。「40回に1回」なんて、まさかと思う。なぜなんだろう。たぶん、コーナーキックからゴールが生まれる(あるいは奪われる)瞬間はリプレイでなんども見て記憶に焼き付けられるのに対し、失敗した平凡なコーナーキックは3秒以内にすっかり忘れ去られるからなんだろう。ディフェンスにあっさりクリアされたり、そのままゴールラインを割ったようなコーナーキックなんて、観客の心の中では即座になかったことになる。「ドーハの悲劇」のショートコーナーは10年でも20年でも語られるのに。

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