November 26, 2011

今週足を運んだ演奏会から

●24日はオペラシティでカンブルラン指揮読響の「海」プロ。すなわちメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、ショーソンの「愛と海の詩」(林美智子Ms)、休憩を挟んでワーグナー「さまよえるオランダ人」序曲、ドビュッシー「海」。相変わらずカンブルランのプログラムはおもしろい。曲目を見ただけで聴きたくなるプログラム。最近、東京も夜になると寒い。寒中水泳の覚悟で聴く「海」プロ。ざぶんと飛び込んでみたら、透明で爽快な海だった。ドビュッシーの「海」がクリアかつクール。盛りだくさんでがっつり楽しんだのに、終わって時計を見ると意外と早くてびっくり。
●23日は白寿ホールで大井浩明ピエール・ブーレーズ全ピアノ作品演奏会。クセナキス、リゲティに続くPOCシリーズ。ノタシオン、フルートとピアノのためのソナチネ、ピアノ・ソナタ第1番、第2番、第3番、アンシーズ、日めくりの一ページ。今回も作曲年順に並ぶ。なのでソナタ第2番までが前半。ソナチネのフルートは都響の寺本義明さん。すばらしかった。鮮烈。ソナタ第2番がハイライト。やっぱりこれは名作なのか。ピアノはもはや人外魔境の域、人間業とは思えず。次回は12月23日にユン・イサン他の韓国人作曲家特集、1月29日にシュトックハウゼン。
●22日は久々に神楽坂の音楽の友ホールへ。萬谷衣里ピアノ・リサイタル。エネスコ(エネスク)のピアノ・ソナタ第3番が聴けたのが大収穫。熱意と高揚感にあふれた見事なエネスコだった。この曲はあまり弾く人がいないけど、とてもいい曲。先日のラヴェル本(ロザンタールの「ラヴェル その素顔と音楽論」)なんかを読んでても感じたんだけど、エネスコって桁外れの音楽的才能に恵まれていたんすよね。なにしろロザンタールは伝説的ヴァイオリニストであるエネスコを「当時、最高のピアニストのひとりだった」って称えるんだから、これがレトリックであるとしてもスゴい。なんでもできちゃう。作曲家エネスコの真価は、彼に貼られた「大ヴァイオリニスト」および「ルーマニア狂詩曲第2番の作曲家」というレッテルで見えにくくなっている気がする……いや、ワタシが見えてないだけか。「ルーマニア狂詩曲第2番」ではない、エネスコ本来の作品を聴いてみなければ。それにしてもエネスコでわけがわからんのは、ピアノ・ソナタが第1番と第3番しかないということだな。ソナタ第2番を「頭のなかでは出来上がっている」と言い張っていたというが、頭の中にあるだけで世に出ていないものは、普通「存在しない」と言うのでは(笑)。

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