December 14, 2011

優雅な青ひげ公のインドの国々の城

●9日(金)は禁断の平日ダブルヘッダー。昼は白寿ホールでラモーのオペラ・バレ「優雅なインドの国々」より抜粋。鈴木優人(指揮・演出・チェンバロ)、黒田育世(コンテンポラリー・ダンス)、野々下由香里(S)他。これはとても好感の持てる企画で、すごく楽しかった。舞台上の半分弱くらいの面積でアンサンブルが陣取って、残ったスペースでコンテンポラリー・ダンスが繰り広げられる。後方のスクリーンには簡潔なイラストレーションと字幕が投影される。実をところ、ダンス門外漢のワタシにはこの踊りをどう受け止めていいのか、さっぱりわからない。一方でラモーの音楽はそれだけで充足できる。だから半分しか楽しんでない気もするんだが、それで構わないんだと思う。オペラ・バレの抜粋上演としてなんらかの視覚的パフォーマンスがあって娯楽性が高められるべきというのはよくわかる。コンテンポラリー・ダンスとの共演としてもたぶんこれが完成形とも思えないんだけど、演出面でいろんな可能性を示唆するものだった。
●ただ、これはワタシがうっかりしてたんだけど「シャコンヌ」は演奏されないんすよね。編成にトランペットが入ってないんだから、チラシをちゃんと見てれば事前にわかりそうなものだが、その場になって気がついた。少し寂しい。「優雅なインドの国々」で「シャコンヌ」が聴けないなんて。
●夜はNHKホールでデュトワ指揮N響へ。前半にバティアシュヴィリのブラームスのヴァイオリン協奏曲があって、後半にバルトークの「青ひげ公の城」演奏会形式があるというぜいたくプロ。「青ひげ公」は昔、映像で見て以来ずっと敬遠してたオペラなんだけど、久しぶりに聴いてどうして避けていたかを思い出した。青ひげが妻ユディットに一つ一つと扉を開けて、ここは拷問部屋、ここは武器庫、と見せていく……というあらすじから想像されるほど、このオペラには怪奇性も幻想性もないんすよね。あるのは「あー、女ってホントにメンドくさい!」っていう痛切な心の叫び。やれやれ。でもそうTwitterでつぶやいたら、女性の方から「男のロマンティストっぷりを描いたオペラ」というぜんぜん別の見方を教わって、少し納得。

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