October 30, 2012

「キャリー」と「死霊のはらわた」。古典の新演出

キャリー 2013●右の場面写真、一瞥しただけで何の映画かわかる方も少なくないと思う。スティーヴン・キング原作の映画「キャリー」だ。といっても、1976年にブライアン・デ・パルマ監督が映画化したあの古典的名作ではなく、これは2013年5月に公開される新作「キャリー」の場面写真。監督はキンバリー・ピアーズ、主演はクロエ・グレース・モレッツ。37年ぶりに再映画化される。
●「キャリー」は、内気な高校生キャリーと狂信的に潔癖で厳格な母親、そしてキャリーを疎外するクラスメイトたちの物語だ。クラスメイトたちがキャリーをイジメようと、養豚場で豚を殺してその血を大量にバケツに集め、キャリーのいちばんハッピーな瞬間に上から血をぶっかけるという、まさに青春真っ盛りといった陰湿な嫌がらせをするのであるが、その瞬間にキャリーの内に抑圧されていたパワーが解放され、惨事が起きる。ホラーとサイコ・サスペンスがこのうえもなく似つかわしい舞台とはハイスクールであるとデビュー作で看破したスティーヴン・キングはやはり非凡だった。
●もう一つ、2013年に公開される映画を。フェデ・アルヴァレズ監督、サム・ライミ脚本の「死霊のはらわた」(原題イーヴィル・デッド)。下の場面写真が怖すぎる。これは1981年公開のサム・ライミ監督による記念碑的名作「死霊のはらわた」のリメイクなんである。写真のヒロインの少女はジェーン・レヴィが演じる。
イーヴィル・デッド/死霊のはらわた
●映画界ではヒット作のリメイクが近年相次いでいる感があるけど、これは新作を生み出すエネルギーが枯渇してきたというんじゃなくて、それだけ歴史が積みあがって、古典を再演出することのほうが価値が高まってきたということなのかも、オペラと同じように。「オペラはハリウッド映画以前の最大のエンタテインメントだった」とするならば、ハリウッド映画は着実にオペラの後を追っている。いずれシネコンも古典の新演出を手がける大スクリーンがいくつも並ぶ脇で、「現代映画」を小スクリーンで上映するようになる、かもしれない。

写真提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(両者とも)
※原題「イーヴィル・デッド」の邦題が「死霊のはらわた」に決定したとの報を受けて、表記を邦題に統一しました。(11/6)

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