March 19, 2013

サントリーホール「チェンバーミュージック・ガーデン2013」とボロメーオSQのMacBook Pro

●東京は春になると毎月音楽祭がやってくる。ちょうど先日開幕して4月半ばまで続く東京・春・音楽祭。続いて5月はもちろんラ・フォル・ジュルネ。で、6月はサントリーホールの「チェンバーミュージック・ガーデン」。ブルーローズ(小ホール)を使用する室内楽のお祭りで、今年で3年目になる。目玉企画はベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会で、今年はボロメーオ・ストリング・クァルテットが出演する。その他、オープニングコンサートの「堤剛プロデュース2013」、クァルテット・エクセルシオとサントリーホール室内楽アカデミー・フェローによる「ENJOY! ウィークエンド」など多彩な企画が並ぶ。
●で、ボロメーオ・ストリング・クァルテットのベートーヴェンなんだけど、曲の割り振り方が思い切ってる。5日間あって、最初の1日でOp18の全部、つまり第1番から第6番までを一挙に演奏しちゃう。6曲も聴けてお得だ(笑)。あと、第13番変ロ長調が4日目にも5日目にも入っている。これは4日目が差し替え終楽章が入ったバージョンで(ただし「大フーガ」は冒頭に独立した作品として演奏する)、5日目は終楽章が「大フーガ」のバージョンで演奏するという趣向。
●あとボロメーオ・ストリング・クァルテットは印刷された楽譜の代わりに、みんなでMacBook Proを使って演奏するというのがおもしろい。下の動画で実際の演奏風景が見れる(ら抜き)んだけど、USBでつながったフットスイッチを踏んで譜めくりをする(「進む」と「戻る」の2ボタンらしい)。楽譜データは単なるPDFを利用しているそうで、書き込みにはAdobe Acrobatを使用。OS等に依存しない汎用性のあるプラットフォームを利用している。
●なぜ楽譜をデジタル化するかについては、まずはスコアを見ながら演奏したいというのが出発点だったとか。ヴァイオリンのニコラス・キッチンによれば、パート譜で演奏していたころは、練習時間の多くが他人が何を弾いているのかを確かめるために費やされていたけど、4人がスコアを見れば効率的である、と。さらに「作曲家がアンサンブルに同一性を求めなかった場合でも自信が持てる」ということで、ベートーヴェンがそれぞれの楽器に異なる弾き方を要求しているときに、すぐに発見できるのが利点。さらに練習では手稿譜もデータで参照しているそう。
●画面の大きなラップトップが譜面台?にのっかているのがクールかどうかは微妙なところではあるけど、iPadやタブレットPCでは画面サイズが足りないか。

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