September 12, 2013

Jリーグ、呪いの2ステージ制

●サポーターたちの猛反対で立ち消えになっていたかと思っていたJリーグの2ステージ制が、あっけなく復活すると報道された。「J1、2ステージが復活 15年から、優勝決定戦も」(共同通信)。寝耳に水。
●しかもこのプレイオフ制度はかなり問題がある。前後期の2ステージ制に分けるだけではなく、まず前後期の1位と2位の計4チームで「スーパーステージ」(仮称)を戦う。前期1位は後期2位と、後期1位は前期2位とそれぞれ対戦し、勝者同士で決勝を行う。で、この決勝で勝ったチームが、今度は年間最多勝ち点クラブ(つまり従来の意味での優勝チームだ)とチャンピオンシップを戦って、チャンピオンを決める。……はあ?
●どうしてこんな迂遠なことをするかというと、必ずプレイオフを実現させるため。2004年までの暗黒の2ステージ制時代には、磐田とマリノスが前後期ともに優勝してチャンピオンシップが開催されなかったことがある。これでは困るから、プレイオフを二重に開催して、確実にチャンピオンシップが開催されるようにしようというわけだ。当然、「前後期の1位&2位」と「年間最多勝ち点クラブ」はかなりの高確率で重複する。その場合は3位を繰り上げるのかどうかなどはこれから協議されるという。
●だが「年間最多勝ち点クラブ」以外にチャンピオンの定義がありうるだろうか? もちろん、ありえない。こんなプレイオフが導入されるのなら、リーグ戦の価値は著しく減少する。以前の2ステージ制のときもあった困った問題だけど、前期に2位以内に入ったチームはもう後期はどれだけ負けてもプレイオフには出場できるわけだ。しかも以前は両方優勝すれば完全制覇できたが、この案では前期1位かつ後期1位でも、それでもプレイオフを戦う必要がある。となれば、前期上位2チームにとって後期は消化試合だ。で、降格は年間勝ち点で決めるわけ? だとすると、「半期の順位表」と「年間通しの順位表」の2種類の順位表をサポーターたちは意識しなければいけない。
●このプレイオフ制度でJリーグは10億円の収入を見込めるんだとか。一方、これによって多くのファンはうんざりした気分で、リーグ戦を不条理とともに受け入れなければならなくなる。おまけに新規のファンにはわかりづらい制度だ。
●で、どっちがいいのか。Jリーグはデメリットも見越して10億円のほうが価値があると判断しているにちがいない。たぶん、その通りなんだろう。サポーターたちはこれから必死で抵抗するだろうが、いざこの通りプレイオフが実現したら、スーパーステージのチケットを買ってしまう。まさに呪い。プレイオフ制度はラインの黄金で作られた呪いの指環だ。財宝と引き換えに、愛を失う。

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