October 15, 2013

東フィルのヘンツェ、チパンゴ・コンソートのコレッリ、北村朋幹リサイタル、セルビアvsニッポン戦

●10日は沼尻竜典&東京フィルのヘンツェ・プロ(オペラシティ)。ピアノ協奏曲第1番(小菅優p)日本初演と交響曲第9番。半世紀近い時を隔てた2作品が演奏された。「第九」は合唱付きの大作で、ゼーガースの小説「第七の十字架」を題材とする。演奏のクォリティの高さもあってきわめて雄弁で激烈な音楽が出現していた。小説の筋立てにかなり沿った楽章構成を持つが、残念ながら作品を読んでいないのと(どんな小説かは知っている。おっと、「読んでいない本について堂々と語る方法」を思い出す)、反ファシズムというテーマに感じる距離感もあってか、切実な共感をもって作品に近づくところにまでには至らず。古典として音楽のみで伝えられる抽象化された劇的表現だけで聴き通すには新しすぎる、か?
●11日は近江楽堂でチパンゴ・コンソート(杉田せつ子vn、懸田貴嗣vc、桒形亜樹子cemb)。平日14時開演で、コレッリの「ヴァイオリンと通奏低音のためののソナタ」作品5の前半。全12曲をこの日と12月16日の2回にわたって取りあげる(第2回は通常通りの夜公演)。曲によってトネッリによるリアリゼーション譜を用いたり、ヴァイオリンとチェロのみで演奏したりと、趣向に富んでいた。親密な空間で生気にあふれたコレッリをひたすら堪能。ぜいたくすぎる。ワーグナーとヴェルディだけではない、没後300周年のコレッリ・イヤーを記念して。
●12日はトッパンホールで北村朋幹リサイタル。今もっとも聴きたい若いピアニスト。1991年生まれ(ああ、90年代生まれって!)。考え抜かれたプログラム。シューマン「森の情景」、シューマンの諸作に触発されたホリガー「パルティータ」より「舟歌」、ベートーヴェンのソナタ第14番(幻想風ソナタ)op27-2「月光」、休憩をはさんで、ベートーヴェンのソナタ第13番(幻想風ソナタ)op27-1、バルトーク「野外にて」。テーマは森と幻想といったところか。前半はすべて切れ目なく演奏されたが(客席も幸い協力的?だった)、冒頭の「森の情景」の空気がシューマンを超えて、ホリガー作品に、さらにベートーヴェン、バルトークに染み出てゆく。最後のバルトーク「野外にて」は、第2曲「舟歌」でホリガーの「舟歌」を、第4曲「夜の歌」でベートーヴェン「月光」を、第5曲「狩」でシューマン「森の情景」を受ける、といったように伏線を回収する。豊かな詩情が全作品にあふれ、リサイタル全体で一つの作品を聴いたという手ごたえ。情感や節度、物語性の表出といった面で音楽は揺るぎなく完成されている。そして詩人はどこまでメカニックを求められるのか、という問いが頭をかすめる。
セルビア●12日夜になって、ようやく代表戦を録画観戦。アウェイで開催されたセルビアvsニッポン。セルビアの監督は一時期現実離れしたほどフリーキックのゴールを決めていたミハイロヴィッチ。この試合はセルビア側からするとスタンコヴィッチの引退試合でもあって、前半11分にスタンコヴィッチが退いて、両軍選手が花道を作るという代表戦では珍しい場面が見られた。ニッポンの陣容はGK:川島-DF:内田、吉田、今野、長友-MF:長谷部(→細貝)、遠藤-岡崎(→ハーフナー・マイク)、本田、香川(→乾)-FW:柿谷(→清武)。この先発組が今のザック・ジャパンのレギュラー選手。ザッケローニはいろいろな選手を試すけれども、ワントップ以外はすっかり固定された序列ができあがっている。
●試合結果はセルビア2-0ニッポンで完敗となったが、スコアほど悪い試合だったとも思えず。すでにW杯予選敗退となっているセルビアだが、選手の能力はきわめて高い。アウェイで戦えば相当ゲームを支配されるかと思えばそうでもなく、意外とニッポンの時間帯もあったなという印象。ただ、数少ない決定機をしっかり決められてしまった。2点目はアディショナルタイムで前がかりになったところのカウンターなので。
●乾、ハーフナーは出場時間が短すぎて、ほとんどなにもできず。しかし中盤の長谷部&遠藤体制がこんなにも長く固定化されるとは。ザッケローニにしてみれば、一度できあがったものをこんな段階で作り直すはずがない、ってことなんだろうけど。
●ガゼッタ・デッロ・スポルトにW杯後の次期イタリア代表監督最有力候補としてザッケローニの名が挙がっているとか。大いにありそう。

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