March 12, 2014

ついにJ3が開幕。琉球FCがJ-U22選抜を一蹴

●これは驚いた。J3、おもしろい!
●今シーズンからついにJ3リーグが発足。これまで3部リーグだったJFLから、Jリーグを目指すプロ志向のチームと、昇格を目指さないアマチュアチーム(横河武蔵野FCはこちら)が袂を分かち、前者はJ3に加わり、後者はJFLに残った。で、そうして誕生したJ3リーグだが、通常のリーグ戦と大きく違うところが2つある。一つは交代枠が5人もあるということ。J1やJ2より先進的な戦術が可能になるかもしれない。
●もう一つは、特別にJ-U22選抜というチームが編成され、リーグ戦に加わること。これはJ1やJ2で出場機会に恵まれない若手有望選手に経験を積ませるという意味がある。五輪代表を目指すような若い才能を各チームから試合ごとに集めてチームを編成する。つまり、メンバーは固定ではなく、試合ごとに各チームから招集される。いわば毎週末に代表戦があるようなものだ。そして、試合は全試合がアウェイ(選抜ゆえにホームというものはないので)。試合ごとに選手が呼ばれるといっても、おおむね中心メンバーは固定されるものと予想される。
●さて、J-U22選抜が3部リーグで戦ったらどうなるか。これまでJFLの試合をたくさん見てきたワタシに言わせれば、選手の個人能力では比較にならない。J-U22選抜のほうがはるかに上のはず。だって、3部リーグの選手というのは大半が無名の選手たち。全国的な注目を集めることはない。アルバイトなど仕事をしながらプレイする選手がたくさんいる(プロ選手もいるが)。3部から2部へと上がっていく選手はごくまれで、それよりも3部から4部(地域リーグ)に落ちていく選手のほうが多い。
●一方、J-U22選抜は将来のニッポン代表候補の有望選手だらけ。初戦の琉球FC戦では、マリノスから熊谷アンドリューと喜田拓也が参加した。名古屋からセンターバックのハーフナー・ニッキも呼ばれている(ハーフナー・マイクの弟)。ニッキなんて197cmあるんすよ! 3部リーグの選手が技術的に1部の選手より劣るのは当然だけど、私見では技術の差よりもフィジカルの差がずっと大きい。JFLでは170cm代前半の選手が普通にプレイしている。これに比べれば、パワー、高さ、スピードなど、J1の選手は超人アスリート集団だ。
●というわけで、個人能力で相手をはるかに凌駕するJ-U22選抜が琉球FCと戦ったわけだが、なんと、琉球FCが大人の力を見せつけて完勝したんである。3対0。J-U22選抜は手も足も出なかった。試合の録画を少し見たが、琉球FCはカウンター狙いで成功したわけではなく、堂々と試合の主導権を握っていた。攻守にわたって組織がシンプルに機能していて、気持ちの面でも相手を上回り、球際の争いでも勝っていた。3得点はいずれも後半。しっかりと相手の守備を崩していた。J-U22選抜は1失点してからが脆い。2点目かな、ハーフナー・ニッキの体の寄せが甘く、相手を自由にしてしまった。
●サッカーの勝敗を分けるものがなんなのか、大いに考えさせられる一戦だった。技術とフィジカルではるかにまさっていても、未熟さとはこんなにもチームを弱くしてしまうものなのか、と。あるいは背負って立つものの違いなのか。

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