May 29, 2014

広上淳一&N響のマーラー交響曲第4番

●28日は広上淳一指揮N響へ(サントリーホール)。前半にシューベルトの交響曲第5番、後半にマーラーの交響曲第4番(ローザ・フェオラのソプラノ)というプログラム。表情豊かで濃厚なマーラー。泣くときは泣き、笑うときは笑う人間味にあふれたマーラーで、開放的なサウンドが鳴り響いていた。
マーラー●一見明快な外見を持ちながらも、第4番はマーラーのなかでも特に一筋縄では行かない交響曲だなと改めて感じる。真摯さとアイロニーの混淆はマーラーの十八番ではあるけど、この第4番はその度合いが特に強い。第1楽章の冒頭、いきなり鈴がシャンシャンと鳴りはじめるのは、おとぎ話の前口上みたいなものなのだろうか。「むかしむかし、あるところに……」みたいな? 「むかしむかし、はるか彼方の銀河で……」は「スターウォーズ」か。第2楽章では、コンサートマスターが調弦を変えたもう一台のヴァイオリンを使う。グロテスクでコミカルな死神が、天上の前に待ち構える。
●第3楽章冒頭は、ベートーヴェン「フィデリオ」第1幕の四重唱序奏からのパクリ、というか引用だと思うが、「フィデリオ」の四重唱 Mir ist so wunderbar.. で歌われるのは、「想いのすれ違い」といったところか。事情の知らないマルツェリーネがレオノーレの愛を確信して幸福を歌い、レオノーレは「ヤバい、オレ本当は男なのに」と困惑し、ロッコは娘とレオノーレを似合いのカップルだとトンチンカンに喜び、ヤキーノは嫉妬する。第3楽章のおしまいには先取りされた輝かしいクライマックスが唐突に訪れるが、ここはもしかすると笑うべきところなのだろうか?
●第4楽章はソプラノが歌う清澄な「天上の楽しい生活」。天上といいつつも、この曲は三管編成ながら、神の声トロンボーンは使用されていないのであった。前作第3番ではあんなにソロで活躍させたのに。最後の終わり方は、静かに美しく終わると見せかけて、微かにバッドエンドを示唆する。あたかもホラー映画の結末で「ふ~、主人公は助かった」と思わせて、エンドクレジットで実はサイコ野郎はまだ死んでいなかったのだよフフフみたいな一コマが入るかのよう。続編は第5番第1楽章の葬送行進曲へ。やっぱりやられてたのね、とか。

このブログ記事について

ひとつ前の記事は「ニッポンvsキプロス@親善試合」です。

次の記事は「ミハイル・プレトニョフ・リサイタル」です。

最新のコンテンツはインデックスページへ。過去に書かれた記事はアーカイブのページへ。

ショップ

国内盤は日本語で、輸入盤は欧文で検索。