June 6, 2014

ネゼ=セガン&フィラデルフィア管弦楽団のモーツァルト&マーラー

●最初に名前を聞いたときは「なんて覚えにくい名前なの」と絶句したヤニック・ネゼ=セガン。でも近年の八面六臂の活躍ぶりでもうすっかり名前を覚えた。すらすらと口から出てくる。どうしても覚えられない方は心のなかでネゼッチっと呼ぶが吉。
●3日はサントリーホールでヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管弦楽団へ。モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」とマーラーの交響曲第1番「巨人」。ようやく実演に接して、これまでベルリン・フィルDCHやCDで漠然と感じていたネゼ=セガンのキャラクターがくっきりと像を結んだという感じ。特にモーツァルトが特徴的で、次から次へといろんなアイディアを繰り出して、まるで即興的に生み出されたかのような音楽を作り出す。反面、一貫性がなくて落ち着かないという気も。才気煥発としていることはたしか。
●楽しかったのは後半の「巨人」。輝かしくて若々しいマーラー。精緻というよりは、勢いがあってのびやか、オケの音色も明るい。小柄なネゼ=セガンのアクションがどんどん大きくなって、最後はブレーキが利かないまま猛進してゴールに突入したかのよう。大喝采の客席にこたえて、アンコールにバッハ~ストコフスキの「小フーガ」。フィラデルフィア管弦楽団の財産とでもいうべきレパートリーで、これはさすが。録音ではそんなに聴きたい曲ではないんだけど、実演だと各奏者の腕自慢的な要素もあって胸がすく。
●すぐれた指揮者には意外と小柄な人が多い。筆頭はレナード・バーンスタイン。実演で目にしたとき、なによりもその背の低さが衝撃だった。あんなに出てくる音楽は大きいのに。

このブログ記事について

ショップ