June 24, 2014

グループリーグ第3戦、カメルーンvsブラジル、見えない敵

ブラジル!●ワールドカップでいちばんおもしろいのが(そしていちばん観戦が大変なのが)グループリーグの第3戦。勝点、得失点差などが順位に影響するため、公平を期すべく同じグループの2試合が同時刻にキックオフされる。なので、両方を観戦するというわけにはいかず(録画ならなおさら)、どちらかに的を絞らなければいけない。A組は、メキシコとクロアチアが決勝トーナメント進出をかけた直接対決をする一方、カメルーンはすでに敗退が決まった状態でブラジルと対戦。少し迷う状況だが、やはりホスト国を見たいということで、カメルーンvsブラジルを選択。
●ブラジルはメキシコと引き分けているため、実はこの試合に勝っても1位通過が決まるわけではない。メキシコがクロアチアに勝った場合は、メキシコとの得失点差の争いになる。A組1位のブラジルはどうしても1位通過したいはず。というのも、ワールドカップは毎回そうだけど、A組1位のホスト枠は日程が優遇されている。A組からH組まで順次登場するワールドカップだが、一か月の長丁場の末に最後は決勝戦の同じ一日に2チームが顔をそろえることになる。だったら、どうしたって早く試合を始めたほうが休息日が増えて有利になる。たとえばA組1位ならトーナメント1回戦と準々決勝の間は中5日だが、E、F、G、H組の1位はこれが中3日にになる。また、同じA組でも1位になれば準決勝と決勝の間が中4日だが、2位の場合は中3日。決勝まで睨むなら、ぜひともお得なA組1位のポジションを勝ち取りたいわけだが、メキシコにもそのチャンスがあった。ブラジルは目の前のカメルーンと戦いつつも、同時に裏番組のメキシコとこのお得なポジションを争っていたことになる。
●ブラジルはフッキが復帰(ダジャレじゃなくて)。試合は序盤からブラジル・ペース。前半17分、ルイスグスタボが左サイドから美しいクロスを入れると、中央でネイマールが右足でぴたりと合わせて先制。クロスもシュートもほれぼれするほど鮮やか。しかしカメルーンも連敗しているとは思えないモチベーションでファイトする。一対一の局面で身体能力の差でカメルーンが勝利する場面もしばしば。前半26分にはニョムのクロスにマティプが合わせて同点ゴール。圧倒的なアウェイであっても、ブラジルを恐れないカメルーン。試合の行方はさっぱりわからなくなる。
●が、ブラジルを救ったのはエース、ネイマールの個人技による2点目。前半35分、ドリブルでエリア内に進入して右足でシュート。いとも簡単に一人でゴールを決めてしまう。後半4分には、ゴール前でフェルナンジーニョ→ダビドルイス→フレッジとつないで3点目。ダビドルイスへのパスがオフサイドかと思ったが旗は上がらず。後半39分は敵陣でボールを奪取してから細かいパス回しを見せて、オスカルのパスにフェルナンジーニョが走りこんで4点目。なんというか、どのゴールもブラジル風味が漂っていて、とても楽しい。ネイマールはボールを浮かせて相手を交わしたり(シャペウ)、失敗したけどヒールリフトにチャレンジしたり、昨今のヨーロッパのシリアスな試合ではあまり見られないような遊び心あふれるプレイを披露してくれた。ネイマールに限らず、普段はみんな欧州フットボールに適応していても、代表に呼ばれるとブラジル人に還るというか。ハイプレス、ショートカウンター、ハードワークの3点セットでもなければ、ティキタカでもない、唯一ブラジルだけが持っている緩急自在のフットボールを見ることができて満足。一発勝負の決勝トーナメントでは、なかなかこうはいかないだろうけど。
●裏側のクロアチア対メキシコは、ずっと0対0で試合が進んでいた模様で、どうやらブラジル1位は安泰かなという状況だったが、後半27分からメキシコが立て続けに3ゴールを奪って、得失点差を稼いだ。ある時間帯では、ブラジルとメキシコの得失点差が並び、総得点でブラジルが上回るという緊迫した状況になっていたのだが、ブラジルが4点目を奪い、メキシコが終盤で失点したことで、ブラジルは安全圏に。無事にA組1位の座を獲得した。メキシコは惜しいチャンスを逃したともいえるが、難敵クロアチアに勝って2位通過を決めることができたのは幸い。B組の2試合までは見ることができなかったが(すでにオランダとチリの勝ち抜けが決まっていた)、決勝トーナメント1回戦はブラジル対チリ、オランダ対メキシコの組み合わせに。どちらも文句なしの好カード。

カメルーン 1-4 ブラジル
娯楽度 ★★★★
伝説度 ★★★

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