July 3, 2014

決勝トーナメント1回戦、アルゼンチンvsスイス、テレビの前でいっしょに両手でハートマーク

アルゼンチン●いまFIFAランキングって5位がアルゼンチンで、6位がスイスだっていうんすよ。スイスは黄金世代が育ってきて相当強いチームになったのだなと、今大会ようやく試合を見て納得。前線にタレントがそろっている。で、激しく多民族化が進んでいて、名前を聞いてもどこの国の人かわからない選手が多い。10番のジャカと小柄ながらボールが足に吸い付くようなドリブルで相手を翻弄するシャキリは、ともにコソボ出身のアルバニア人。アドミル・メーメディとブレリム・ジェマイリはマケドニア出身のアルバニア人。フォワードのドルミッチはクロアチア人、セフェロビッチはボスニア・ヘルツェゴビナ人……と、バルカン色濃厚なメンバーが並ぶ。名将ヒッツフェルトが率い、プチ・ドイツ化した規律のある組織的守備とダイナミックで奔放な攻撃陣が噛みあって、スピーディで小気味よいサッカーを展開していた。
●一方のアルゼンチンは、アグエロが負傷で離脱したものの、代役にラベッシが出てくる超豪華アタッカー陣。メッシ、イグアイン、ディマリア、ラベッシ。世界トップレベルのストライカーたちに、さらにその上を行く異星人メッシが加わっている。個々のスキルの高さにはため息が出るほど。しかし組織力は低く、脆さも感じる。メッシはなんでもできるけど(やれば守備もできる)、走らない。ひょっとしてアルゼンチンはメッシ抜きで残ったメンバーで激しくファイトしたほうが強いんじゃないの……という疑念がどうしても払拭できないんだが、メッシの異次元のプレイを否定することなんてだれにもできない。3人くらいマークがついていても、するすると抜いていく、あたかも彼だけ違う時間の流れのなかにいるように。
●このゲーム、前半までは今大会見たなかでは一二を争う好ゲーム。ボールを保持していたのはアルゼンチンだが、スイスにとってこれはプラン通り、2度ほど決定機を迎えていた。キックオフ直後からアルゼンチンへのブーイングがひどくて驚く。後半にはスイスを応援する「オーレ!」も。どんだけアルゼンチンが嫌いなの、ブラジルの人たちは。
●スイスはキビキビとした見ていて楽しいサッカーを展開していたが、後半途中からぐっとパフォーマンスが落ちてしまった。アルゼンチンの左サイドバック、ロホが高い位置をとると、前半脅威を与えていたシャキリが守りに追われるようになり、やがてスイスは防戦一方に。しかし、アルゼンチンも決定機に決めきれず、延長へ。ともに運動量は激減し、最後は気力の戦いでしかないと思いきや、延長後半13分という土壇場になって、メッシがするするとドリブルでゴール前まで持ち込み、ディマリアへパス、ここでシュートがようやく決まって1対0。結局はメッシの個人技がすべてだったという結果に。その直後、スイスのコーナーキックからジェマイリのヘディングがポストを叩くというあわやの瞬間もあった。ここでアルゼンチンが脱落しては大会が盛り上がらないので、ほっとするとともに、もっとスイスを見たかったという気持ちも残る。
●ゴールを決めたディマリアは嬉しそうな表情で、両手でハートマーク ♥ を作るゴール・パフォーマンスを見せてくれた。くぅ、カッコいい。あのポーズ、ワタシもやってみたいぜ。しかし日常生活のなかでハートを作るシーンを考えてみたが、まったく思い浮かばない。

アルゼンチン 1-0 スイス
娯楽度 ★★★★
伝説度 ★★

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