October 21, 2014

ブラビンズ&都響のイギリス音楽プロ

●20日はマーティン・ブラビンズ指揮東京都交響楽団へ(サントリーホール)。ブラビンズは一昨年の名古屋取材で名フィルのバックス、ウォルトン、ラフマニノフというプログラムを聴いて以来だが、都響でオール・イギリス音楽プロを聴けようとは。ヴォーン・ウィリアムズのノーフォーク狂詩曲第1番、ブリテンのピアノ協奏曲(スティーヴン・オズボーン)、ウォルトンの交響曲第2番。めったに生で聴けない曲ばかり、月曜ということもあってかさすがに空席も目についたが、客席の反応は上々。すっきり明快で、響きのバランスがていねいに制御された演奏を聴けた感。ブリテンではスティーヴン・オズボーンが気迫のソロを披露。ときにはオケの大音量に立ち向かう無理ゲーに果敢に挑みつつ。
●ブリテンのピアノ協奏曲は「未ブリテン」的なところが魅力だったりそうでなかったりする作品という気がする。第1楽章や第4楽章にはプロコフィエフ流の乾いたリリシズムとユーモア、あるいはラヴェル風の機知があって、第2楽章の歪んだワルツはラヴェルの「ラ・ヴァルス」風(ウィンナワルツのパロディのパロディ?)。第3楽章のパッサカリアがいちばんブリテンらしい楽章か。ブリテンの音楽の剥き出しの苛烈さが苦手な向きには聴きやすい一方で、まだこの先の向こう側に沃野が広がっているという手探り感も残しているというか。
●もっと何度でも聴きたいと思わされたのはウォルトンの交響曲第2番。第1番の熱いヒロイズムとは違った手ざわりで、ぐっと洗練されている。でも第3楽章の「怪獣が出てきそう感」とか、むちゃくちゃ楽しい。ブラビンズが第1番を振ったらどうなるか、それは続く11月4日の公演でわかるわけなんだけど、こちらはあいにく都合がつかず。盛りあがること必至。次の公演まで日が空いているが、この間にブラビンズは常任指揮者を務める名フィルを振る。

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