December 3, 2014

カンブルラン&読響で「ライン」「英雄」、ダン・タイ・ソン、USEN B68

●少し遡って、28日はサントリーホールでカンブルラン&読響。モーツァルトの「魔笛」序曲、シューマンの交響曲第3番「ライン」、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」という変ホ長調プロ。「ライン」冒頭は3拍子を2拍単位で分割していて拍子がよくわからなくなる曲の代表だけど、「英雄」も第1楽章で同じように3拍子が2拍単位に分割されて強拍の位置がずれるパッセージが出てくる。こういったヘミオラの活用、キープレーヤーとしてのホルンなど、調以外にも共通項があって、練りあげられたプログラム。どの曲にも指揮者の意匠が凝らされていたと思うけど、特に楽しんだのは「英雄」。かなり速いテンポが採用され、冒頭からまるで軽快な舞曲のように響く。小気味よくスタイリッシュなベートーヴェン像が提示される一方で、たぶん、オケ側でナチュラルに持っているであろう重厚で気迫あふれるベートーヴェン像が混じりあって、両者のせめぎ合いから勢いのある生々しい音楽が生まれてきたという印象。
●27日は紀尾井ホールでダン・タイ・ソン。前半にプロコフィエフ「つかの間の幻影」抜粋、シューマン「ダヴィッド同盟舞曲集」、後半にラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」「ソナチネ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「水の戯れ」「ラ・ヴァルス」。お目当てはシューマンだったけど、後半のラヴェルが期待以上にすばらしかった。端正で緻密な音楽をベースとしつつ、ライブならではの熱さ、ポエジーも。アンコールはショパンのノクターン ト短調op.37-1。
●告知をひとつ。USENのB-68チャンネル「ライヴ・スペシャル ~CLASSIC~」、今月のプログラムは、上旬と下旬で2回にわけて「VOCES8のクリスマス・コンサート」。2012年王子ホールでのライブ音源。ナビゲーター役を務めた。

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