March 25, 2015

オーケストラ・アンサンブル金沢第31回東京定期公演

●24日はサントリーホールで井上道義指揮OEK。ペルト「フラトレス」、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番(仲道郁代)、シューベルトの交響曲第8番「グレイト」という魅力的なプログラム。ペルトの「フラトレス」はいろんなバージョンがあるが、この日は独奏ヴァイオリン(コンサートマスターのアビゲイル・ヤング)と弦楽オーケストラのための版。静謐な祈りのひととき。もっともペルトの音楽にはなかなか共感できないのだが……。仲道さんのベートーヴェンは第1楽章、第2楽章ともにかなり遅めのテンポで、じっくりと情感豊かに歌ったロマン的な演奏で、作品の抒情的な性格が強調されていた。仲道さんといえば近著「ピアニストはおもしろい」(春秋社)が刊行されて、会場でも販売されていた模様。実はこの本、今読んでいる。とてもおもしろい。
●後半のシューベルトが聴きもの。なにしろOEKなので編成が小さい。休憩が終わって場内にもどったときに、舞台上に並ぶイスの数の少なさに覚悟みたいなものを感じる。弦楽器は8-8-4-4-3、だったかな? この曲でヴィオラ4人というのは視覚的なインパクトもなかなか。もっともシューベルトの生前にこの曲が演奏される機会があったとしたら(実際にはなかったわけだけど)、これくらいのサイズだろうか。同じ場所で在京オケが「グレイト」を演奏すればコントラバスだけで8人くらい並びそうなもの。いつものようにヴァイオリンは左右に対向配置。おかげで非常に見通しの良いくっきりとしたサウンドが生まれ、「グレイト」に漠然と抱く豊満さみたいな印象が後退し、代わって凛々しさが前面に出てきた。男前のシューベルト。終楽章は少人数ながら渾身のクライマックス。フルートに特任首席奏者の工藤重典氏。トロンボーンはもともと団員がいないので、常にエキストラ。マエストロに大病の後といった雰囲気はまったく感じられない。最後はマイクを持って、「新幹線で金沢に来てください」。CD化のための録音あり。

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