June 1, 2015

ダウスゴー&都響のサーリアホとニールセン

●29日はサントリーホールでトーマス・ダウスゴー指揮の都響定期へ。前半にサーリアホのクラリネット協奏曲 D'OM LE VRAI SENS(2010)日本初演、後半にニールセンの交響曲第3番「広がりの交響曲」。前日のオペラ「遥かなる愛」に続くサーリアホ祭り。サーリアホ本人によるプレトークもあって、一段と作品が親しみやすく感じられた。クラリネット協奏曲のソロで超絶技巧を披露したのはカリ・クリーク。照明を落として暗闇のなかで曲が開始され、Rブロックの2階あたりから、クラリネットのソロがいななく。中世フランスのタペストリー「貴婦人と一角獣」から触発された作品ということで、クラリネットがユニコーンのようにいななき、演奏しながら客席内を、舞台を移動する。音のみならず、いわれてみればクラリネットの形状もユニコーンの角っぽい? 6つの部分から構成され、前夜の「遥かなる愛」に比べてずっと起伏に富んでいて、ユーモラスで、ケダモノ的で、開放的。最後は舞台上のヴァイオリン奏者たちが立ち上がり、客席に散開する。おもしろい。
●D'OM LE VRAI SENS っていう題が読めない……。みんな困らないんだろうか。あえて日本語にしない理由はプログラムの解説に親切に書かれているのだが、しかし。
●後半、ニールセンの交響曲第3番「広がりの交響曲」は大好きな曲。ニールセンは第4番、第5番も好きだが、第3番はモダン成分少なめで鄙びた楽想が魅力。田園情緒というか、「垢抜けた田舎っぽさ」みたいな二面性があるのがいい。ダウスゴーがインタビューでいっているように、第1楽章冒頭で打撃音風に開始されるのはベートーヴェン「英雄」由来なんだろう(同じ第3番だから?)。全力肯定の終楽章も吉。自分がこの曲に抱くイメージからすると、ややスマートな方向に着地した感もあったけど、痛快。楽しさという点で完璧なプログラムだった。

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