September 14, 2015

バッティストーニ&東京フィル、反田恭平

●11日は東京オペラシティでバッティストーニ&東京フィル。ヴェルディの「運命の力」序曲、ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲(ピアノ:反田恭平)、ムソルグスキー~ラヴェル編曲の組曲「展覧会の絵」というプログラム。前日の公演はパガニーニ・ラプソディに代わって、ラフマニノフ~レスピーギ編の「5つの絵画的練習曲」が入ったプログラムで、「展覧会の絵」の二匹目のどじょうを狙ったようなレスピーギ編曲もおもしろそうだったのだが、仕事のご縁もあった反田さんのピアノを聴きたくこの日に。チケットは完売。客席には若者の姿が多め。
●一曲目の「運命の力」序曲、冒頭のブラス・セクションの咆哮から重量感があって強烈。熱いだけでもなければ歌わすだけでもなく、細部まで確信に満ちた解釈を浸透させている感。この曲、終結部の直前で、たたみかけるようにアクセルを踏む演奏をつい期待するが、むしろブレーキを踏んで劇的な効果を生み出していた。パガニーニの主題による狂詩曲では、ソリストの思い切りのよい表現を堪能。俊敏さと陶酔の鮮やかなコントラスト。ホロヴィッツが愛用したというスタインウェイを用いての演奏で、きらびやかで清爽とした音が紡ぎ出される。ソリスト・アンコールでは上着を脱いで登場、「いっちょやってやるか」くらいの勢いでホロヴィッツ編「カルメン幻想曲」。フルスロットルで駆け抜ける特盛ヴィルトゥオジティ。やっと21歳になったところなんだとか。客席はドッと大喝采。
●「展覧会の絵」はラヴェルの洗練された華やかなオーケストレーションに焦点をあてるというよりは、むしろその向こう側のムソルグスキーの存在を強く感じさせる骨太の演奏。バッティストーニも28歳だからすごく若いはずなんだけど、すでに大家然とした風格を漂わせている。

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