October 8, 2015

クリストフ・エッシェンバッハ指揮ウィーン・フィル

●ウィーン・フィルハーモニー・ウィーク・イン・ジャパン2015、今年の指揮はクリストフ・エッシェンバッハ。東京では3プログラム。曲目を見るとモーツァルトやハイドン、ベートーヴェンなど古典派の曲が目立つ。それ以外にはチャイコフスキーの弦楽セレナードとプロコフィエフの古典交響曲。つまり、今回は二管編成でしか来日していないのか。なんだか寂しいような? いや、でもウィーン・フィルらしい曲がたくさん聴けるともいえるのか。ヒンデミットと来日した最初の来日公演でもこんな感じのプログラムだったんだっけ?
●で、唯一エッシェンバッハのピアノを聴ける6日の公演へ(サントリーホール)。前半はモーツァルトのピアノ協奏曲第23番、後半にチャイコフスキーの弦楽セレナードとプロコフィエフの古典交響曲。弦楽器の配置は第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンの並びで、コントラバスは下手奥。先日のロンドン交響楽団といい、パーヴォおよびブロムシュテット指揮のN響、ノット指揮東響といい、本当にこの配置を目にする機会が増えた。
●エッシェンバッハのピアノは客席に背中を向ける位置で配置。陰影に富んだモーツァルト。エッシェンバッハの弾き振りは過去になんども聴いているが、相手がウィーン・フィルとなると味わいは格別。ほかでは聴けない豊かで潤いのあるサウンド、ローカリズムの高らかな凱歌。ソリスト・アンコールまであって、シューマンのゆったりとした「トロイメライ」。ほとんど音楽が止まりかけそうになる。後半のチャイコフスキーも、「弦楽オーケストラは大きいほどいい」という作曲者の言葉とは裏腹に少数精鋭で、しかしサイズを感じさせない豪快さ。ゴージャス。プロコフィエフの影が薄くなるほど。アンコールに大らかな「フィガロの結婚」序曲。帰り道に記憶で反芻するのはチャイコフスキー。

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