October 19, 2015

鈴村真貴子ピアノ・リサイタル~カワイサロンコンサート

●16日は鈴村真貴子ピアノ・リサイタルへ(カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」)。前半にモーツァルトの「デュポールのメヌエットによる9の変奏曲」、シューベルトのピアノ・ソナタ第4番イ短調、ドビュッシーの「版画」、後半はすべてプーランクで、3つのノヴェレッテ、テーマ・ヴァリエ、プーランクの組曲「ナポリ」。鈴村さんといえばプーランクなんだけど、前半にプーランクとつながりのある作曲家を並べたという奥行きの感じられるプログラムが魅力的。各曲のキャラクターが伝わってくる精彩に富んだピアノを満喫。
●並べてみると、プーランクへの親和性という点では、ドビュッシーよりもシューベルトのほうがずっとしっくりと来る。シューベルトのピアノ・ソナタ第4番は第2楽章の歌謡風主題が後のソナタ第20番イ長調終楽章と同じでドキッとする。この再利用はなにか特別な理由とかがあったんすかね? 第20番の終楽章で出てくると漂泊の詩人みたいな意味ありげな音楽に聞こえるけど、第4番で聴けば典型的なシューベルトの緩徐楽章に思えてくるのがおもしろい。
●プーランクの組曲「ナポリ」は、作曲者のイタリア旅行をきっかけに書かれたという作品で、「舟歌」「夜想曲」「イタリア奇想曲」の3曲からなる。作曲家というものはイタリアを旅すると曲を書かずにはいられなくなるのだろうか。舟歌は舟歌と呼ぶには浮遊感があって、ゴンドラというよりは空飛ぶ絨毯にでも乗っているかのよう。イタリア奇想曲のとち狂った弾けっぷりが眩しすぎる。

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