December 8, 2015

デュトワ&N響の「サロメ」演奏会形式

●6日はNHKホールでシャルル・デュトワ指揮N響。12月定期での演奏会形式によるオペラ、今回はR・シュトラウスの「サロメ」。昨年のドビュッシー「ペレアスとメリザンド」もそうだったけど、オケの定期でこんなに高水準のオペラを聴けて、ホントにありがたい。演奏家形式でなければ絶対に聴けないような壮麗なサウンドを堪能。精彩に富み、頽廃美というよりは機能美を味わう。歌手陣もすばらしい。声量も十分でなおかつ視覚的にもサロメとして納得できるグン・ブリット・バークミンは貴重。エギルス・シリンスのヨカナーンは立派だけど、役柄としては若い男子っぽいイメージがほしい気も。キム・ベグリーのヘロデ王は最強。演奏会形式なのに、これほどキャラを立たせることが可能だとは。演じていた、完璧に。
ビアズリーのサロメ●「サロメ」って、最後のヘロデ王の決め台詞を延々と待ちながら聴くオペラだなと改めて思う。今か今かと待ち望んでいるといってもいい。サロメが出てきて、ヨカナーンを欲してこらえきれなくなる姿が、そのままワタシらの「あの女を殺せ」という一言を欲する姿の鏡像になっている。ああ、品がない。サロメが首切り役人にヨカナーンの首を持ってくるように命じた後の描写がなんというか、もう……。あと「7つのヴェールの踊り」って、少しどんくさいっすよね、セクシーっていうよりは。そこがスゴいと思う。
●NHKホールのオルガンが使用されていたんだけど、上手側壁から音が降り注ぐという予想外の空間性が生まれていたのが印象的。
●ヘロディアス(ジェーン・ヘンシェル)ってのも、なんともいえない役柄っすよね。「オホホホ、それでこそ私の娘よ! ホーホホホホホ」。狂いすぎていて、もう可笑しい。それをいうならヨカナーンも狂ってるし、ナラボート(望月哲也)もそんなことで勝手に死ぬなよ!って感じ。フォースの暗黒面に堕ちた連中だらけで、どう考えても正常なのはヘロデ王だけ。

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