April 11, 2016

IIJとベルリン・フィルがストリーミングパートナー契約を締結、ハイレゾ配信がスタート


●8日はIIJとベルリン・フィル・メディアの共同記者会見へ(東京文化会館大会議室)。ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホール(DCH)における技術協力を目的として、IIJ(株式会社インターネットイニシアティブ)が「ストリーミング・パートナー」となるスポンサーシップ契約が締結された。で、この日からさっそく、DCHでハイレゾ・ストリーミング・チャンネルがスタート。ラトル指揮ベルリン・フィルのシベリウス交響曲全集など、すでに自主レーベルにて発売されているタイトルが、最高192kHz/24bitのハイレゾ音源で配信されている。これはDCHの加入者なら追加料金なしで楽しめる(プラグインや専用ソフトウェアのインストールも不要)。ワタシも帰宅してからさっそく聴いてみた。簡単に聴ける。ありがたし!
●さらにIIJのハイレゾ音源ストリーミングサービス PrimeSeat にて、4月16日より新番組「ベルリン・フィル・アワー」が配信開始される。こちらはベルリン・フィル定期を48kHz/24bitのハイレゾ音源で配信するというもので、第1回は4月16日の19時よりラトル指揮でベートーヴェンの交響曲第4番とマーラーの交響曲第1番「巨人」。専用ソフトウェアのインストールが必要。
●会見には写真左よりIIJの鈴木幸一会長、ベルリン・フィルのソロ・チェロ奏者でベルリン・フィル・メディア取締役でもあるオラフ・マニンガー、ベルリン・フィル・メディア取締役ローベルト・ツィンマーマン各氏他が出席。鈴木会長は「音だけで大量の帯域を使用する画期的なサービス。会場のノイズなども含めた、まさにそこにいるかのような高品質のサウンドを配信したい」。マニンガー「ベルリン・フィルは以前から可能な限りその時代の最新技術を活用してきた。ソニーの大賀さんとのCDやカラヤンとの映像など。さらに時代が進み今はDCHで定期演奏会を配信している。われわれはライブでもメディアでも常に最高の品質で音楽を届けることを目指している。今回、IIJとパートナーシップを組めたのは幸運なこと。IIJといっしょにストリーミングの未来を考えたい」。
●さらに日本でまっさきにハイレゾ配信が実現したことについて。マニンガー「日本の聴衆は常にクォリティに対して高い要求をする方々。そして、ドイツとは比較にならないほどネット環境が整っている。光ファイバーの普及率はドイツでは5%だが日本では60%にもなると聞いている。また日本にはベルリン・フィルを大切に思ってくれるファンがいる。わたしたちは今回のことをスペクタクルだと思っているのだが、日本の聴衆にもそう思ってもらえるのかどうか、注目している」。
●といった次第で、ベルリン・フィルのDCHがますます充実することに。スタートしたばかりの頃はコンテンツの量がごく限られていたDCHだけど、その後、同じ料金のままどんどんコンテンツが増えて、なおかつハイレゾ配信まで始まった。なんというか、だれも背中が見えないくらいのぶっちぎりの独走状態というか。
●最後の質疑応答の中で、どんなに配信技術が進化してもそれが生の演奏会の代わりになるものではないといった文脈から出てきた一言。オラフ・マニンガー「実際にライブを聴いたことがある人がハイレゾ配信を聴くときと、そうでないときでは受容の仕方がちがってくると思う。これはサッカーのようなスポーツでも同じ。いつもスタジアムに足を運んでいる人が、たまにテレビを見るのと、テレビでしか見ない人では感じ方が違ってくる。ライブで体験していれば、メディアを通してもそこに実際の会場の雰囲気などを感じ取ることができる。この本質はどんなに技術が進んでも変わらないだろう」。ツィンマーマン「未来にはさらに技術が進むだろう。3Dのバーチャルセット等々。それらがライブの代わりになることは未来永劫ない。しかし技術は進んでいくものであり、そのクォリティをわたしたちは上げていきたいのだ」。

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