April 26, 2016

ジョナサン・ノット&東響の「ドイツ・レクイエム」他

●24日はジョナサン・ノット指揮東京交響楽団(サントリーホール)。今回もプログラムがすばらしい。前半にシェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」とベルクの「ルル」組曲、後半にブラームスのドイツ・レクイエム。死の匂いが立ち込める前半と、死者を悼む後半。ナチスのユダヤ人虐殺が題材のシェーンベルク作品と、「ドイツの」レクイエムの組合せは、プログラムノートでノットが語るように「聴く者に和解の想念を抱かせる」。ソプラノはチェン・レイス、バス・バリトンと語りはクレシミル・ストラジャナッツ、東響コーラス。前半2曲のそれぞれの歌手が、後半に独唱者となって集うのは視覚的にも劇的で、プログラムのストーリー性を際立たせる。チェン・レイスは前半に深紅の衣装、後半は黒で登場。
●ドイツ・レクイエムは全般にゆっためのテンポがとられ、豊麗で、追悼というよりは希望の歌に聞こえる。ヴァイオリンが用いられない第1曲のくすんだ色調もあって地味な作品だと思っていたけど、少し印象を改めさせられた。この曲、なんというか、どん臭いところが好きなんだけど、ぜんぜんカッコいいではないの。
●「ルル」組曲って、ソプラノが第3曲で歌うときは魔性の女ルルを歌うんだけど、第5曲で歌うときはゲシュヴィッツ嬢になって「ルル、わたしの天使……」って歌うんすよね。オペラ本編を見てないとわけがわからなくなりそう。第5曲ではルルは切り裂きジャックに殺されているという謎展開。
●ノットと東響のコンビは毎回の公演が本当に充実している。いつも新鮮な感動があるんだけど、これはいつまで続くんだろう。

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