May 10, 2016

冨田勲逝去

●5月5日、冨田勲逝去。84歳。
●「新日本紀行」「きょうの料理」「ジャングル大帝」等、名曲は数多いが、自分にとってはなんといってもクラシックの名曲をシンセサイザーで再創造した音楽家だった。特に好きだった曲をいくつか思い出してみる。
●まずは「惑星」。ホルストの原曲よりもこちらを先に知った。というか、自分が初めて購入したLPレコードがこれだった。70年代風のまばゆい未来といったイメージ。しかし今聴くと、いろんなディテールをすっかり忘れていたのに気づく。「火星」の前に独自のイントロダクションが付いていて「木星」の有名なメロディが出てきたり、ロケットのカウントダウンのシーンが挿入されていたりする(原曲とちがい、これは完全に宇宙旅行のイメージ。時代背景的にもそうなるのは必至)。天王星と海王星がひとまとめになっているのも忘れてた(ジャケットはオリジナルのほうがいいのだが、ダウンロード販売されているのは近年発売されたULTIMATE EDITIONのみ。こういうときうっかりCDにリンクすると品薄で変なプレミアムが付いてるから、ダウンロードのほうにリンクする)。
●それから「月の光」だと、ドビュッシーのベルガマスク組曲の「パスピエ」。今聴いてもカッコいいし、この音色しかないと思えてしまう。「ゴリウォーグのケークウォーク」で「パピプペおやじ」が大活躍するのも楽しい。「月の光」だったかな、以前、あるレコード雑誌に「どんなピアニストが弾いた演奏でもこれよりマシ」みたいなことが書かれてたのを読んで、ムッとした記憶あり。
●あと、局所的なんだけど、ラヴェル「ダフニスとクロエ」の冒頭にも魅了された。これも原曲より先に聴いたんだけど、あまりに印象が強烈で、その後ラヴェルを聴いたときに「なんだか物足りないオーケストレーションだな」と倒錯的な違和感を感じたほど。あのなにかが湧きあがって覚醒する感じはすごいと思った。

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