June 29, 2016

EURO 2016 ラウンド16 イタリア対スペイン、アイスランドの大番狂わせ

イタリア●自分が見た限り、今大会ベストマッチは文句なしにこの試合。イタリア対スペインという対戦カードは前回EURO 2012決勝の再現だが、あのときはスペインがイタリアをボッコボコにしたのだった。決勝なのに4対0という大差がついた。ゼロトップ・システム完成形の最強スペインがスペクタクルを展開したわけだが、イタリアは日程上不利なうえに試合中に2名の負傷交代が出て、しかもそのうちの二人目は(モッタなのだが)交代カードをぜんぶ切った後だったため、以降10人で戦うことになってしまったのだ(以上、4年前のおさらい)。となれば、イタリアが雪辱を期すためにどれほどの思いでこの試合に臨むかわかろうというもの。
●激しい雨のなか、キックオフから猛然とイタリアはスペインに襲いかかった。あまりのハイテンションに守勢に回るスペイン。これはまず見られない光景。事前に予想された「攻めるスペインに守るイタリア」という図式はどこにもない。今回のイタリア、スター不在とはいわれるが、気がつけばなかなかの大型チームになっている。前線のペッレは194センチで空中戦を支配。前半9分、フロレンツィのフリーキックからペッレが頭で合わせるが、これはデヘアがファインセーブ。今大会、ゴールキーパーのレベルの高さは尋常ではない。
●イタリアは2トップのコンビが機能している。長身のペッレとブラジル生まれのエデルによる2トップは、3バックのディフェンス・ラインともども、どこかクラシカルなテイストをもたらしている。前半33分、エデルがゴール前でフリーキック。強烈なシュートをデヘアがいったん止めるが、こぼれたところに猛然と走りこんだジャッケリーニが蹴りこみ、さらに跳ね返ったボールをキエッリーニが押し込んで、イタリア先制。すごい喜びよう。
●スペインは後半頭からノリートをアドゥリスに代えて修正を図る。イタリアは前半から相当飛ばしてきたので後半は足が止まるかも。と思っていたのだが、それでも必死に高い位置からの守備を続ける。スペインは次第にチャンスを作るようになったのだが、イタリアも徐々に守りの比重を高め、巧みにゲームをコントロール。スペインは途中出場のアドゥリスが負傷交代してしまう(4年前を思い出すが、立場は逆だ)。試合終了直前、攻めあがったスペインに対して、イタリアはカウンターからペッレがゴールを決める。イタリアの完璧な試合運び。そして、かつてEURO 2008、ワールドカップ2010、EURO 2012と主要大会3連覇を果たした偉大なチームは、ひとつのサイクルの終わりを迎えた。イタリア 2-0 スペイン
アイスランド●さて、残るもう一試合、イングランド対アイスランドで大波乱が起きた。開始早々にPKをプレゼントされてイングランドが先制したにもかかわらず、アイスランドはすぐさま同点ゴールを奪ったばかりか、さらに逆転ゴールまで決めて、そのまま逃げ切った。完全にノーマークだったチームがベスト8に進出。思わずアイスランドの人口を確かめる。人口は33万人。日本でいうとだいたい埼玉県所沢市とか秋田市と同程度である。つまり、所沢代表が欧州選手権に参加して、予選突破どころか本大会で決勝トーナメントに進出し、イングランド代表に逆転勝利したみたいな話であって、これはもうイングランドはどんな言い訳も不可能だろう。ロイ・ホジソン代表監督はショックのあまり辞意を表明。イングランドはEUからの離脱に続いて、EURO 2016からもまさかの逆転離脱。なにかの呪いじゃないのか。アイスランドによる最強男前伝説が誕生した。
●これで、ベスト8が出そろった。残るはポーランド対ポルトガルの「ポ」対決、ウェールズ対ベルギーの「一見地味だけど実はスーパースターが輝いてる」対決、ドイツ対イタリアの「一見派手だけど実はスーパースターが不足気味」対決、フランス対アイスランドの完全想定外対決。もうどこが優勝してもおかしくない。開催国フランスにはかなりプレッシャーがかかると思う。勝って当然と思われる反面、アイスランドは実際に強いはずなので(もう決勝まで進んじまえっ!)。日程面からは「ポ」対決の勝者が有利。こりゃ、「ポ」が来るんじゃないの。来るよ、来るよー、「ポ」、来ちゃうよ~。今回のEUROはおもしろい!!

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