August 12, 2016

「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督)

●ようやく映画館で「シン・ゴジラ」。おもしろい。映画館でいったん充足して、でも帰宅してしばらくすると「もう一回見てもいいんじゃないか」という気持ちがわいてくる。以下、これから見る人向けにそれなりに配慮しつつ書くけど、でも一切なにも知りたくない人はスルー推奨。
●あれこれと語られやすい映画だとは思うんだけど、自分がいちばんいいなと思ったのはゴジラの造形とか動き、破壊シーンの迫力といった、純然たる怪獣映画としてのおもしろさ。最初に姿を見せるときの「えっ、これって?」感とか、本当にすばらしい。そして、ゴジラは怖かった。いろんな面で現代的なリアリズムが反映されているわけだけど(昭和時代のゴジラだったら、怪獣が上陸しただけで即座に自衛隊がやってきてピュンピュン!って攻撃したじゃないすか。でも現実の民主国家ではそうはいかない)、その一方で正調怪獣映画からは外れていない。ロマンスとか人間の愛憎劇をドラマの軸に置かず、焦点が当たっているのはずっと怪獣。あとは乗り物とか。少し機械とか工場とか。そうこなくちゃ。
●で、これって災害映画でもあるじゃないすか。もともと怪獣映画は昭和時代からずっと、災害映画であり自衛隊映画であったわけだけど、311以降のワタシたちにとって生々しい光景が描かれていて、しかもそれを市井の人々ではなく官僚・政治家側の視点から見せたところが特徴。やっぱり「エヴァンゲリオン」を連想する。使徒としてのゴジラ。
●役者の演技は今風のテレビドラマそのものだと思う。そこはもうしょうがないのかな、様式ということで。みんなすごく早口。これは吉。こちらに代わって先方が早回しをしてくれている感。
●伊福部昭の音楽もリスペクトされていて、ぐっとくる瞬間あり。ところで自分が子供のころに映画館で観た「ゴジラ」って、どれもゴジラは正義の味方で、われらがヒーローだったんすよね。キングギドラとかメカゴジラとかと戦ってくれて、ときには「シェー!」のポーズとかとってくれる愛嬌のある怪獣。子供はミニラだった。あー、今にして思うとずいぶんのんきだったなー、昭和のゴジラって。

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