ドミノ・ピザ
October 11, 2016

シルヴァン・カンブルラン指揮読響の「グレイト」

●9日は東京芸術劇場でシルヴァン・カンブルラン指揮の読響へ。ラモーの「カストールとポリュックス」組曲(4曲だけ)、モーツァルトのピアノ協奏曲第15番(マルティン・シュタットフェルト)、シューベルトの交響曲第8番(第9番)「グレイト」という楽しすぎる極楽プログラム。ラモーはヴィブラートを控えて端正。モーツァルトではシュタットフェルトが個性的な演奏を披露。マニアックな閉じたミニチュア世界で羽ばたくモーツァルトというか。低い椅子に座って、目の前の虚空を凝視しながら弱音中心の念入りな表現。音色が独特で、フォルテではくすんだトーン、でも弱音ではむしろきらびやか。指はとてもよく回る。シャレオツ、だろうか。でもキャッチを付けるなら「低糖質モーツァルト」かな。繊細そうな学生さんに思い切りご飯を大盛りでよそってしまう学食のオバチャンの気持ちに仮想的に共感してみる。シュタットフェルトを見てると、いまだグールドの呪縛みたいなものが生きてるのかなとつい思ってしまうんだけど、先入観に毒されすぎだろうか。でもきっとまた聴く、おもしろいから。
●後半の「グレイト」は快演。冒頭のホルン主題がずいぶん速いテンポではじまって、えっ、こんなスピードで行くのと思っていたら強弱のメリハリをつけながらぐんぐん進む。驀進するシューベルト、フランツまっしぐら。ダサいタメなんて入れない。終楽章はほとんど踊るためのビート・ミュージック、反復することの快楽。芸劇のお客さんたちがいても立ってもいられなくなって、思わず立ち上がって踊り出す(というのは大ウソだ)。もちろん、最後の一音はズバッと終わる。ビバ、天国的な長さ。ていうか、ぜんぜん長くない。

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