October 24, 2016

清水真弓 トロンボーン・リサイタル ~ スーパー・リクライニング・コンサート

●20日は白寿ホールのスーパー・リクライニング・コンサートで清水真弓トロンボーン・リサイタル。ピアノは末永匡さん。清水さんは南西ドイツ放送交響楽団の首席奏者として、また意欲的なレコーディング活動でも注目されるトロンボーン奏者。トロンボーンのリサイタルというもの自体、めったなことでは聴けないわけで、レパートリー的にも新鮮。ロパルツの変ホ短調の小品、ペルゴレージのシンフォニア、ジョンゲンのアリアとポロネーズop128、ブラームスの間奏曲op118-2(これはピアノ独奏)、藤倉大のトロンボーン独奏のための deliquesce(2015年委嘱作品)、シューマンの「リーダークライス」op39より4曲、ヨルゲンセンのロマンスop21と、バロックから現代まで多彩。旋律楽器としてのトロンボーンの魅力を発見する。のびやかで、ほとんど甘美といってもいいくらい。冒頭、技巧的なロパルツでガツンと始まって、そこからブラームスの小品一曲をのぞいて休みなく吹き続ける休憩なし1時間のプログラム(これを一日に昼と夜とで2回)。藤倉作品はワウワウミュートを使って、まるでトロンボーンが「話す」かのような曲。音そのものがユーモラスだが、ソロなので相手がいないのにずっと独り言をつぶやいている感もあって微妙にクレイジーなテイスト。ワタシはこの曲名がわからなくて、後でdeliquesceを辞書で引いたら「溶解する」と出てきて、ああ、曲の終わりのところがそういうことだったのかなと(なぜ訳さないんでしょ)。
●しっかりトーク入りのコンサートだったんだけど、清水さんの話しぶりが率直でサバサバしてて、すごく親しみが持てる。別にギャグじゃないんだけど笑えるという場所がいくつもあったんだけど、なんだったかなー。で、このスーパー・リクライニング・コンサートって、白寿ホール名物のリクライニングシートが売り物で、さあ寝てくださいといわんばかりに席が最初からリクライニングになっているんすよ。だからといって眠ろうとは思わないし、だいたいはこれ聴いてフツー寝るか?と思うようなプログラムなんだけど。と、思っていたら、アンコールでプッチーニの「だれも寝てはならぬ」トロンボーン版を演奏してくれた。笑。このホールでこの曲を演奏した人は過去にもいたんだろうか?

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