ドミノ・ピザ
November 30, 2016

「火の鳥」、立ち上がったマリス・ヤンソンス

●28日はサントリーホールでマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団。この日のプログラムは前半にベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(ギル・シャハム)、後半にストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」(1945年版)というプログラム。ベートーヴェンの協奏曲、第2楽章から第3楽章に入るときの一瞬ティンパニが入るカデンツァはなに? 堂々たる風格漂うベートーヴェン。アンコールを弾く前に、袖からハープ奏者やホルン奏者が入ってきて、なにをやるのかと思ったら、シャハムがクライスラーの「美しきロスマリン」を弾く、と。なんと、オーケストラ伴奏入りだった。
●後半の「火の鳥」はやや珍しい1945年版の組曲。「火の鳥」にはいろんなバージョンがあって、よく演奏されるのは1919年版の組曲。これがまあ、いちばんよくできているとは思う。2管編成だし、長さも20分程度。密度が濃い。でも、コンサートの後半を任せるには尺が足りない。全曲版はもりだくさんで楽しいけど、4管編成が必要で、45分もかかる。なんだか「帯に短したすきに長し」って感じだけど、これをうまく補ってくれるのが1945年版、ということになるはずなんだろう。1945年版は2管編成で30分くらい。1919年版を大盛りにした感じで、密度もほどよし。でも、なんだかオーケストレーションが微妙に硬い気がするのは自分だけ? いろんな版があってややこしいんだけど、だったらもういっそモジュール化して、演奏会ごとに選曲とかオーケストレーションをカスタマイズできる仕組みがあるといいのかもしれない。「魔王カスチェイ」の出てこないイジワルな「火の鳥」組曲とかあったらイヤすぎる。
●本編のプログラムが終わって、カーテンコールで、ステージに出ようとしたヤンソンスが転倒するという場面があった。凍りつく客席。一瞬、拍手は完全に止んだ。しかしヤンソンスは立ち上がって、客席に向かって両手でガッツポーズを見せてくれた。とはいえ、本当に大丈夫なのか。心配な気分のまま、アンコールへ。グリーグの「過ぎにし春」、そしてエルガー「野生の熊たち」。盛り上がって終わったが、なんだか気になる。帰宅してみたら、主催者のTwitterで、随行するドクターに診てもらったヤンソンスの「大丈夫だから心配しないで。会場に来ていた皆さんにも伝えて!また会いましょう!」というメッセージがあげられていた。

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