January 20, 2017

ロペス=コボスとN響のオール・レスピーギ・プロ

●19日はヘスス・ロペス=コボス指揮N響のオール・レスピーギ・プロ(サントリーホール)。前半に「グレゴリオ風の協奏曲」(ヴァイオリン:アルベナ・ダナイローヴァ)、後半に「教会のステンドグラス」、「ローマの祭り」という、なかなか聴けないプログラム。「グレゴリオ風の協奏曲」って、ヴァイオリン協奏曲なんすよね。独奏はウィーン・フィルのコンサータマスター、アルベナ・ダナイローヴァ。どうしてこんな珍しい曲を弾こうと思ったんでしょ。「教会のステンドグラス」はレスピーギ得意の大編成のオーケストラによる色彩感の豊かさが聴きもの。バンダのトランペットあり、オルガン・ソロあり。第2楽章だっけ? おしまいでドラが「シャーン」と鳴らされるところが少し可笑しい。「グレゴリオ風の協奏曲」ともども、レスピーギの特徴である擬古的な趣向や宗教的イメージの活用、豊麗な色彩感がよくあらわれていたが、とはいえ、曲の魅力でいえば断然、「ローマの祭り」。やっぱり人気曲ってよくできてるなとも痛感。そもそも「ローマ三部作」のなかでもワタシは「祭り」派なので、総天然色の音の奔流をたっぷりと堪能。
●先日のファンホ・メナに続いて、またもスペイン人マエストロがN響に登場。ロペス=コボスとN響の音楽は精緻で明快、細部までピシッとピントが合ったようなレスピーギで、「祭り」もカオスな乱痴気騒ぎというよりは、サービスの行き届いた清潔なテーマパークのよう。とりわけブラスセクションは見事。
●「教会のステンドグラス」って、先に曲ができていて、その後にこの曲名とか各楽章の標題が後付けでできたっていうんすよ。しかもレスピーギ本人が考えたんじゃなくて、友人の文学者クラウディオ・グアスタッラの提案で。だから、曲の成立とステンドグラスにはなんの関係もないし、第1曲が「エジプトへの逃亡」だったり、第2曲が「大天使聖ミカエル」だったりするのも後付け。妙手なり。なんだかレスピーギへの親近感がわく。こういう曲こそ、「これはステンドグラスだ!」と信じて聴きたいもの。

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