March 23, 2017

井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢のバルトーク&モーツァルト

●21日は東京オペラシティで井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢。前半にダニイル・グリシンの独奏でバルトークのヴィオラ協奏曲、後半にオーケストラ・アンサンブル金沢合唱団が加わってモーツァルトのレクイエム。独唱は半田美和子、福原寿美枝、笛田博昭、ジョン・ハオ。前半のバルトークでは、OEKでは首席奏者としておなじみ、クレメラータ・バルティカで首席奏者としても活躍したダニイル・グリシンが圧巻のソロ。純然たるソリストとして聴いたことは今まであったっけ? すごい音が出てくる。強靭。後半は金沢からやってきた合唱団が熱演。魂のモーツァルト。3月11日の金沢公演でもふたりの作曲家の遺作が並べられた同じプログラムが演奏されていて、哀悼の意を込めた選曲ではあるはずだが、レクイエムを終えたマエストロの挨拶では「遺作をふたつ並べましたが、特に意味はありません。みんな、生きてます」。
●バルトークのヴィオラ協奏曲もモーツァルトのレクイエムも遺作であると同時に、他人の補筆完成版によって演奏されざるを得ない作品でもある。よく使用される補筆完成版に対してさまざまが議論があり、別の補筆が行われるという状況も似ている。バルトークは一般的なシェルイ版、モーツァルトはバイヤー版が用いられていた。バルトークで補筆をしたシェルイって、もっぱら補筆者として名前を聞くけど、この人自身も作曲家なんすよね。しかもバルトークの補筆をする前に、自身の作品としてヴィオラ協奏曲を書いている。このシェルイのヴィオラ協奏曲を録音で聴いてみると、なんだかバルトークとの親近性が感じられるのがおもしろいところ。たまたまなので、宣伝しておくと、拙ナビによるFM PORT「クラシックホワイエ」の今週末の放送(土曜夜10時~)で、バルトークのヴィオラ協奏曲(シェルイ版)を流して、おまけにシェルイのヴィオラ協奏曲の第1楽章後半抜粋をかけている。ラジコプレミアム利用者は全国から聴取可、新潟県内からは電波でも受信可。えっ、そんな「たまたま」がありうるわけ? あるのです……。
●今日の深夜はニッポン代表のW杯予選もあるのだが、時間帯が遅すぎるので生は断念。朝に録画観戦するので、厳重に結果バレ禁で臨みたい。

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