March 24, 2017

UEA代表対ニッポン代表@ワールドカップ2018最終予選

UAE●最終予選はここからが後半戦。まずは難敵UAEとアウェイで戦う。思い出したくもないが、ホームでの初戦でわけのわからない判定が相次いで、1-2で敗れてしまった相手。おかげでグループBが大混戦となり、ニッポンは難しい戦いが続くことになっている。で、ニッポンはこの重要な一戦に不動のキャプテン長谷部を欠くことになってしまった(所属フランクフルトではリベロのようなポジションで新境地を開いたりと絶対的なレギュラー選手。しかし膝の手術を敢行するとか)。ハリルホジッチ監督は意外なスタメンをそろえてきた。一言でいえばベテラン頼み。
●GK:川島-DF:酒井宏樹、吉田、森重、長友-MF:山口、今野、香川(→倉田秋)-FW:久保(→本田)、原口-大迫(→岡崎)。びっくりしたのは2年ぶりに代表に呼ばれた34歳今野の復帰。長谷部の代役に収まった。キーパーの川島も予想外。所属のメスでは第3キーパーの扱いと聞いていたけど。試合にはまったく出ていないはず。西川は相当に悔しいのでは。長友もインテルではたまにしか出番が巡ってこない状況ながら、ハンブルガーSVでキャプテンを務める酒井高徳をベンチに追いやった。一方、岡崎と本田はベンチ。ベルギーで絶好調の久保が先発するのは納得。トップに入った大迫も今やケルンで不可欠の選手になっている。
●UAEには絶対的なエース、オマル・アブドゥルラフマンがいる。ほとんどフリーポジションみたいな特権を持ったプレイメーカー。ボールを触りたいタイプで、躊躇なく自陣にまで戻ってくる。現代サッカーでは希少種となった一人でやるタイプだが、ボール扱いのうまさは抜群で、巧みにキープしながらキラーパスを狙う。こちら側から見るとこの選手はもっとゴールの近くにいたほうが怖いのだけど、すぐに下がってしまう。なので、オマル・アブドゥルラフマンに守備をさせるという展開が狙いとしてあったと思う。守りはほとんどアリバイ守備だし。実際、オマル・アブドゥルラフマン対策はかなり成功していたのでは。前半は厄介だったが、後半途中からはほぼ消えていた。
●懸案の審判はウズベキスタンのセット。フェアな笛で安堵。前半14分、右サイドをあがった酒井宏樹から、ディフェンスラインの裏に走り込んだ久保へパス。浅い角度だったが久保はダイレクトにシュートを放ち、これが見事に決まった。祝、代表初ゴール。ベルギーのヘントでゴール量産中の久保だが、判断の速さが印象的。あのコースを瞬時に狙えるのはすごい。ほかのプレイでも視野が広い感じ。ニッポンは珍しく早い時間帯に先制できた。
●前半20分にはマブフートが川島と一対一のシュートチャンス。これを川島が足で防ぐスーパーセーブ。決まっていれば展開が違っていた。タイトな展開が続いて前半はニッポンが1点のリードで折り返す。UAEはこの試合のために、わざわざピッチの両サイドを縮めて、通常より4m狭いフィールドを用意してきた。スペースがなければニッポンに不利と読んだわけだが、先に失点してしまうとかえって困る面もあるのでは。基本、スペースが少ないほど、点は入りにくい。
●この日は大迫のポストプレイのうまさが際立っていた。ドイツではまったく高いとはいえないはずだが、それでも前線でボールを収めるのが大迫の巧みさ。この日もどれだけ後ろの選手を助けてくれたことか。後半7分、その大迫が頭でボールを落とし、受けた久保が右サイドからファーにクロス。そこになぜか今野が走り込んでいて、てっきり中央に折り返すのかと思ったら、自分でトラップしてシュートを決めてしまった。まさか今野が守備のみならず攻撃でも活躍するとは。2対0。
●ここから試合は中盤が間延びして、雑な展開に。お互い運動量がぐっと落ちてしまい、狭いはずのピッチにスペースができる。香川を倉田に、足をつって動けない久保を本田に交代。暑さと疲労で苦しい時間帯が続いたが、相手も疲れで集中力が落ちていく(中東勢相手によく見る展開)。後半37分、大迫が負傷退場して岡崎と交代。所属のレスターでは昨季とは打って変わって困難な状況が続くものの、監督交代以降は出場機会を取り戻しつつある岡崎。コンディションはよさそうだが、せっかくやってきた決定機を決めきれない。近年の岡崎は献身性とひきかえに決定力が後退している感も。
●意外だが、高さではニッポンに分があった。今や中東勢相手でもそんなふうになるんだ。おかげで終盤につまらないパワープレイを受けずに済んだのは吉。しっかりと2対0で勝ち切った。ベテラン抜擢の策からオマル・アブドゥルラフマン対策まで、すべてが狙い通りに運べて、ハリルホジッチ監督はご機嫌では。完璧。
●ライバルたちだが、サウジアラビアはアウェイのタイ戦に完勝する一方、オーストラリアはアウェイのイラク戦に引き分け。これでグループBはサウジが1位、同じ勝点でニッポンが2位、勝点3の差でオーストラリアが3位。少しオーストラリアが引き離されつつある。ニッポンは28日にホームでタイ戦を迎える。その後はアウェイのイラク戦、ホームのオーストラリア戦、アウェイのサウジアラビア戦という厳しい試合が続く。
●反対側のグループAでは韓国がアウェイで中国に敗れるという番狂わせがあった。イランが頭一つ抜けて1位を走っている。

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