May 11, 2017

東京武蔵野シティFC対FC今治@JFL

東京武蔵野シティFC対FC今治
●LFJより遡って5月3日、武蔵野陸上競技場でJFLの注目の一戦、東京武蔵野シティFC対FC今治が開催。あの岡田武史元日本代表監督がオーナーを務める(通称リアル「サカつく」)FC今治がついに東京にやってきた! 岡田武史代表のもと、小さなローカルクラブとしてはありえない優秀な指導者陣や大手スポンサーなどを獲得し、理想のフットボールの実現を目指して邁進するFC今治。最初の年こそJFL昇格に失敗して四国に留まったが、今季はついに全国リーグのJFLに昇格し、われらが東京武蔵野シティFCと同じ土俵で戦うことになった。
●開幕前、岡田さんはインタビューで「JFLはワンシーズンで通過してJ3に昇格したい。ここで何年も留まってしまうと云々」みたいなことを語っていた。なにしろ彼らはこんなところで満足しているつもりはない。J3、J2、J1と駆け上り、ニッポン代表選手を何人も供給する最高峰のクラブを目指しているのだから。しかも、勝つだけではなく、見て楽しい、美しいフットボールで。今季から監督を務めるのは吉武博文。わーお、元U-17日本代表監督だよ! JFLにこんな大物監督がいるなんて。そしてメンバー表を見て唸る。世間的に有名な選手ではないだろうが、元Jリーガーが何人もいる。武蔵野はプロ経験のない大卒選手が大半(JFLだとそんなもの)。
●さて、ここまでが長い前フリだ。それで、試合はなにが起きたか。見たこともない試合になったんすよ!! 今治はパスをつなぐ。JFLでこんなチームは見たことがないというくらい、バックラインでもパスをつなぐ。主導権を握って、ゲームを組み立てるのが彼らのサッカー。うわー、JFLでもこんなボールがつながるサッカーができるんだ。で、武蔵野はどうしたかというと、珍しく前線からプレスをかけまくった。そしてひたすらカウンターを狙うという戦略。これがおもしろいようにハマった。技術は向こうのほうがあるんだろうけど、プレスをかけられるとやっぱりミスをする。だからこれを奪ったらカウンター。次々とチャンスが生まれる。前半28分、武蔵野は左サイドを駆け上がった石原が先制ゴール。さらに41分、ショートカウンターからパスをつないで水谷がゴールで2点目。後半に入っても試合の流れは変わらず、70分にまたも水谷がゴール。キーパー飯塚のファインセーブもあって、武蔵野が3対0で鮮やかな勝利。基本、守備のチームである武蔵野がこんなにゴールを奪えるなんて!
●これもFC今治のおかげなんである。彼らが勇敢にポゼッション・サッカーにこだわったから、ゴールを奪えた。多くのチームのようにシンプルにクリアすれば何事もなく済むところで、彼らはバックラインとキーパーの間でボールをつないで展開しようとする。そこでプレスの餌食になる。ポゼッション・サッカーというものがどんなに損か、目の当たりにした気分。彼らが相手だから、(こちらにとっては)とても見ごたえのあるエキサイティングなゲームが実現した。
●大勝で勝点3をゲットした武蔵野。気分は悪くない。で、心中の思いを一言で表現すればどうなるだろうか。「ざまあみろ」って感じ? チチチ、違うんだよなー。そうじゃない。「うらやましい」。これが正しい。われわれは試合に勝ったけど、志で大敗している。今日の今治はミスで自滅したけど、ファンのハートにぐっと来るのは彼らが目指すサッカーのほう。ガマン比べみたいなカウンター合戦はほどほどにしないと、スタジアムから足が遠のく。この日の観客は1438名。いつもの倍くらい。今治からも大勢のサポが来てくれた。感謝するほかない。

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