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June 19, 2017

ラザレフ指揮日本フィルのグラズノフ&プロコフィエフ

●16日はアレクサンドル・ラザレフ指揮日本フィルへ。サントリーホール休館中ということで珍しく東京文化会館での開催。都響以外の日本のオーケストラをここで聴くのは久しぶりか。「ラザレフが刻むロシアの魂 Season IV グラズノフ2」と題され、グラズノフの珍しいバレエ音楽「お嬢様女中」が演奏されたのが貴重。グラズノフは前半だけで、後半はプロコフィエフのピアノ協奏曲第1番変ニ長調(若林顕)、プロコフィエフのスキタイ組曲「アラとロリー」。後半もそうそう聴けない曲で、ありがたいかぎり。こんなプログラムでも客席は盛況。
●グラズノフの「お嬢様女中」はバレエの情景が浮かんでくるような洗練された音楽。優雅で美しい。バレエのあらすじは気恥ずかしいくらいのプリンセス・ストーリーで、高貴な姫は侍女に身分を偽ってもやっぱり魅力的だという話。逆に姫に身分を偽った侍女には魅力がないという話でもあって、現代的視点では問題ありって気がするが、19世紀だからしょうがない。以前、ラザレフは記者懇談会でグラズノフのオーケストレーションを絶賛していた。「チャイコフスキーはすばらしい音楽を書いたが、オーケストレーションはもうひとつだなと感じることがある。リムスキー=コルサコフにもやはりもうひとつだなと感じることが少しだけある。でもグラズノフにはまったくない。彼は音楽的教養に恵まれ、オーケストラを知悉していた」って言うんすよね。この視点はなかなかワタシらには持てない。でも、このグラズノフ、リムスキー=コルサコフ、チャイコフスキーというオーケストレーションの巧みな順番って、裏を返すと完璧であればあるほど、なにか刺さってくる「ひっかかり」が少なくなるのかな、と思わんでもない。
●後半のプロコフィエフのピアノ協奏曲第1番はこの日、最大の聴きもの。くらくらするほどカッコいい。若林顕のダイナミックなソロが熱い。鼻持ちならないほど自信と野心にあふれた若き作曲家像が伝わってくる。プロコフィエフはピアノ協奏曲も交響曲も若いときほど楽しいんじゃないだろか。スキタイ組曲「アラとロリー」は、古代の異教という題材といい曲想といい、先に初演されたストラヴィンスキーの「春の祭典」によく似ている。冒頭の巨大管弦楽の咆哮とか、まさに。終曲では文化会館の広大な空間が飽和しそうなほどの大音響が轟いた。
●ラザレフはますます客席とのコミュニケーションを盛んにとるようになっていて、グラズノフでも演奏中にこちらを向いて「ほらほら、このヴァイオリンのメロディ、美しいでしょう!」と言わんばかりのゼスチャー。プロコフィエフのピアノ協奏曲第1番では客席のだれよりも早く手を叩いたのがラザレフだったというまさかのセルフ・フライング拍手。先日ロジェストヴェンスキーが読響とのブルックナーの第5番で終わるやいなや指揮棒でスコアをぴしゃりと叩いたのを思い出した。すまん、いつでも余韻を味わいたい族で。

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