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July 6, 2017

ハーゲン・クァルテット シューベルト&ショスタコーヴィチ・ツィクルス III

●5日はトッパンホールでハーゲン・クァルテット。シューベルト&ショスタコーヴィチ・ツィクルスが三日間にわたって開催されていたのだが、その最終日のみを聴く。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第15番変ホ短調とシューベルトの弦楽四重奏曲第15番ト長調というダブル「第15番」プロ。どちらも作曲者の最後の弦楽四重奏曲。
ショスタコーヴィチ●ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第15番は全6楽章で構成され、そのすべてがアダージョ。それぞれエレジー、セレナード、間奏曲、夜想曲、葬送行進曲、エピローグと性格付けされているものの、ゆっくりとした楽章だけで全曲が構成されるというのは異例。となれば連想するのは、ハイドンの「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」。あの曲もがすべての楽章がアダージョだけでできていて、実際の礼拝に使うためにその条件で曲を書かなければならなかったハイドンがさんざん知恵を絞った末に、聴衆を退屈させない自信作ができた、みたいなエピソードがあったと思う。ハイドンの曲にも弦楽四重奏版があるわけだし、ショスタコーヴィチがハイドンを意識しなかったはずはないと思う。ショスタコーヴィチの終楽章のおしまいで痙攣するみたいなトレモロが出てくるけど、あれはハイドンの終楽章に出てくる「地震」の場面に呼応してるんじゃないだろか。
●一方、シューベルトの弦楽四重奏曲第15番は1826年の作曲ということで、「ザ・グレート」と同時期。どっちが先なんだろう。古典的な4楽章構成で50分級の大作。その外形だけ見ると「ザ・グレート」のような果てしなく続く終わりなき喜びの歌を期待してしまうが、「ザ・グレート」とは似ても似つかない音楽で、むしろベートーヴェンの後期四重奏曲集のほうを向いている。
●ハーゲン・クァルテットの演奏は壮絶。急激なダイナミクスの変化、荒々しさや切れ味の鋭さなど、全般にコントラストを最大まで振り切ったような演奏で、崖っぷちを全力疾走するみたいなエクストリーム感満載。シューベルトとショスタコーヴィチという驚くべき組合せからしてそうなんだけど。Myrios Classicsによる録音あり。いずれリリースされる模様。