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July 24, 2017

フェスタサマーミューザ2017開幕。ノット&東響のオープニングコンサート

●22日はミューザ川崎へ。フェスタサマーミューザが今年も開幕。首都圏のオーケストラが次々とミューザ川崎に登場するこの音楽祭だが、プログラムのカラーは公演によってずいぶん違う。本格クラシックからジャズあり映画音楽あり親子プログラムありと極端に振れ幅が広いのが特徴。で、オープニングコンサートはここを本拠とするジョナサン・ノット指揮東京交響楽団が登場。たぶん、これがいちばんハードなプログラムで、シェーンベルクの「浄められた夜」(弦楽合奏版)とストラヴィンスキーの「春の祭典」。ほのぼの感ゼロの曲で開幕するサマーミューザの男前っぷりが吉。
●合わせて一時間強の短いプログラムだが、通常公演同様休憩入り。「浄められた夜」は弦楽合奏版とはいえ編成は小ぶり。続く大編成の「春の祭典」との対比が鮮やか。「浄められた夜」はデーメルの詩の内容からしても背筋がゾクッとする怖い曲だが、ノット&東響の演奏は巨大空間に立ち向かうかのように情熱的で身振りの大きな音楽。「春の祭典」は切れ味鋭くスリリング。すばらしい。洗練された荒々しさというか、コンクリートジャングルのバーバリズム。ところどころにダイナミクスやフレージングに独自性が感じられるのも新鮮。ノットはスコアを置かず、力まず軽々と棒を振る。この曲、やっぱり変態だ。初演のスキャンダルが有名だが、こんなリズムで踊れと言われてダンサーが踊れるはずがない。しかし今や指揮台上で実に滑らかに踊るノット。