December 15, 2017

ヤン・リシエツキ ピアノ・リサイタル

●11日は紀尾井ホールでヤン・リシエツキのピアノ・リサイタル。リシエツキ、DGからリリースされるショパンで知って、ポーランド人だと思い込んでいたら、両親がポーランド人でカルガリー生まれのカナダ人なのだとか。リサイタルのプログラムがおもしろい。ショパンの夜想曲第15番ヘ短調と第16番変ホ長調、シューマンの4つの夜曲、ラヴェル「夜のガスパール」、ラフマニノフの幻想的小品集Op.3、ショパンの夜想曲第19番ホ短調とスケルツォ第1番ロ短調。テーマは「夜」。最後にスケルツォ第1番が置かれるのはどうしてかなと思ったら、中間部にポーランドのクリスマス・キャロル「眠れ、幼子イエス」が引用されているのだとか。
●リシエツキは1995年生まれ。唖然とするほどきれいなテクニック。粒のそろった美音で、強奏時でもきらびやかで決して響きのバランスを崩さない。特に「夜のガスパール」の第1曲「オンディーヌ」はこんなに精密に弾けるのかと思うほど。ショパンであれラフマニノフであれ感傷にも官能にも溺れず、整った造形で音のドラマを紡ぎ出す。スケルツォ第1番なんかはもう少し煽ってくれてもとは感じるんだけど、これだけ磨き抜かれた演奏はめったに聴けない。もっと客席がわくかと思ったが、好みの分かれるタイプということなのか。アンコールは2曲。ショパンのノクターン第13番ハ短調、とてもゆっくりしたテンポのシューマン「トロイメライ」。アンコールまで本編のテーマに即していた。

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