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February 3, 2018

ラ・フォル・ジュルネ2018、ナントその2

ラ・フォル・ジュルネ2018、ナント
●はるばるやってきました、東京国際フォーラム……じゃない、ナントのシテ・デ・コングレ。ホントに建物の雰囲気が似ている。一瞬、有楽町にいるのかと錯覚を起こしそうになる。羽田から深夜便で出発して、到着初日は会場に足を運んだものの、時差で一日が異様に長くなってて、体力的に公演は聴けず。代わりに2日目は猛烈な勢いで聴いた。以下、順に。今回のテーマはエグザイルあらため「新たな世界へ」。
●9時半の朝イチはチェンバロのフランソワ・ゲリエによるスカルラッティのソナタ集。ナポリに生まれイベリア半島に渡ったスカルラッティもまたエグザイルな作曲家だったのであった。ほとんどのチケットが売り切れるというナントだが、さすがに平日朝イチは空いている。官能性、ユーモア、メランコリー、パッション、すべてがバランスよく盛り込まれ、雄弁だが過剰ではないスカルラッティ。
●続いてはこの音楽祭の現代曲担当みたいになってるピアノのフローラン・ボファール。リゲティとストラヴィンスキーを組み合わせたプログラム。リゲティは「ムジカ・リチェルカータ」と「練習曲集」からそれぞれ抜粋で。以前、ナントで聴いたときもそうだったのだが、この人は演奏前に簡単なレクチャーをしてくれる。フランス語なので意味はわからなかったが、これが聴衆と作品の距離を縮めているのは明らか。おそらくお客さんの大半はリゲティになじみのない方だったと思うのだが、終わってみると大ウケ。演奏中にたびたびクスクス笑いが漏れるのがいい感じ。
●続いては、まったく未知の団体だったんだけど、アンドレイ・ペトレンコ指揮エカテリンブルク・フィルハーモニー合唱団。ペトレンコといってもキリルでもない、ヴァシリーでもない、第3のペトレンコ、アンドレイが登場だ。エカテリンブルクからやってきた合唱団のロシアの合唱曲集。ラフマニノフの「晩祷」および「聖ヨハネ・クリソストムの典礼」からほんの少しだけ抜粋、ペルトのアヴェ・マリア、シュニトケの3つの合唱曲抜粋、グレチャニノフの知らない曲、スヴィリドフの知らない曲等々、宗教曲が続いて、最後にロシア民謡集で大爆発。男声の低音の深みがすごい。土の香りのする合唱。声量も豊か。グレチャニノフとかスヴィリドフとか、ローカルなレパートリーほど客席の反応がよくて、最後の民謡集は自分ラ・フォル・ジュルネ史上最大級の大ウケ。スタオベ多数。アンコールにまさかのリムスキー=コルサコフ「くまんばちの飛行」合唱バージョン。笑いが漏れつつも大喝采。
●この音楽祭の顔のひとりが、ピアニストのケフェレック。プログラムを見たら、ケフェレックがリオ・クオクマン指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアとの共演で、ヒンデミットの「4つの気質」とバルトークのピアノ協奏曲第3番を弾くというのがあって、ケフェレックってそんな曲も弾くんだ、と驚く。で、行ってみたら、なぜかステージにピアノがなくて、ヴィオラ奏者が出てきてヒンデミットの「葬送音楽」が始まった。んん?と思うが、プログラムが変更になっていたよう。続いてケフェレックが登場して、バルトークは予定通り弾いてくれた。先鋭さがぐっと控えめになったバルトーク。第2楽章が白眉。
●この日の最後はクレーメルとクレメラータ・バルティカ。プログラムではカンチェリの「エクシール(亡命)」を演奏することになっていて、時差ボケで聴くには集中を保つのが大変な曲だからとコーヒーをがぶ飲みして行ってみたら、曲目が変更になってた。といってもカンチェリは変わらず。ヴァイオリンと室内オーケストラのためのV&V、サイレント・プレイアーズの2曲。録音した声を用いるという点で共通した2曲。痛切な祈りの音楽。後者では子供の歌声が使われるんだけど、演奏中に客席からむずかるようなリアル子供の声が一瞬聞こえて、微妙な共鳴現象を起こしていた。
●ナントの会場は前回行った4年前と比べて少しずつあちこち変化していた。最大の違いは入場口。入口の手前に一か所ゲートを設けて、手荷物検査をすることになっていた。この一か所以外からは入れないように、ほかの道は封鎖。Jリーグでもおなじみ、手荷物検査。どうだ見てくれとばかりにガバッとカバンを開ける。

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