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February 13, 2018

コードネームU.N.C.L.E.(ガイ・リッチー監督)

●先日、飛行機の機内で時間を持て余して映画を見ようと思い、あれこれと話題の大作、人気作を再生してみたのだが、どうもうまくいかない。これはどう考えても自分がまちがっているのだが、最初の5分くらいでピンと来ないともう止めたくなって、別の映画に移ってしまう。まるでテレビのようにザッピング。映画館を前提に作られているわけだから、本来最後まで見通すという強制力が発生するはずのものなのに、画面をタッチすればすぐに止められるという手軽さに負けて、やたらと気が短くなる。これってDAZNの見逃し配信でサッカーを見るときと似ていて、スタジアムなら問題なく最後まで集中して楽しめるような試合でも、ふと気が散るとハイライトで済ませてしまう。コンサートのオンデマンド配信なんかもそう。ライブか再生メディアかというよりは、場をみんなで共有するものとひとりでオンデマンドで体験するものの違いの大きさを感じる。「エイリアン:コヴェナント」だって、きっと最後まで見ていたら大傑作だったかもしれないのに、それなのに、それなのに……。
●で、結局見たのはガイ・リッチー監督「コードネームU.N.C.L.E.」。これは抜群におもしろい。最近映画事情にまったく疎くて、こんな作品があったことも見落としていたのだが、ガイ・リッチー監督の初期の名作「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」をほうふつとさせるような小気味よくてスタイリッシュなエンタテインメント。話の中身はスパイ映画でナポレオン・ソロのリメイクなんだけど、とことん表層的なカッコよさだけが追求されていて、一瞬も飽きさせない。スパイの相棒が死に物狂いで敵から逃げている背景で、主人公が逃げ込んだ車の中にワインとサンドイッチを見つけて、優雅に食べて終えてからやれやれといった感じで相棒を助けにいくみたいなバカバカしい気取った演出とか、実に可笑しい。リアリズムなんか一切問題にならないセンスのよさ。脱帽するしか。

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