March 27, 2018

満開の花

満開
●よく言われることだが、一般的な桜、つまりソメイヨシノって全部クローンなんすよね。日本中に広がっているのに、みんなクローンで個体差がない。だから、同じ地域の桜はどれも一斉に咲いて、一斉に散る。一気に満開になるところとか、桜吹雪なんかも、クローンゆえの美しさ。歴史的にも案外新しくて、江戸時代の末期あたりに作られた品種で、最近の研究によれば最初の原木は上野公園にあったんだとか。それが接ぎ木でどんどん増殖されて、全国に広がった。いわばコピペ植物。ソメイヨシノ同士の自然交配はできないそうなので、人間が広めることでしか生きられない植物ということになる。もっとも、ソメイヨシノ側から見れば、自ら繁殖しなくてもヒトという動物を働かせて広く繁殖できたわけで、「美しく咲き誇る」という能力を適者生存の原則にのっとって発達させた生命体ともいえるわけだ。
●とはいえクローンだ。ムチャクチャな仮定だけど、仮にソメイヨシノが植物じゃなくてヒトだったとすると、ひとりの原個体を全国津々浦々にコピーしたようなもので、たまたまそれが西郷隆盛だったりすると、日本全国どこにいっても西郷隆盛ばかり植えてあって、ほかの人物はまったくいないみたいな状況なわけで、「なんでそいつに決めたの?ほかに候補はいなかったの?」っていう疑問はずっと残ると思う。ひとりじゃなくて、せめて3人とか5人くらいをコピーしてもよかったんじゃないか、とか。
●それで、なんの話かというと、一週間ほど前に、「あ、あそこで一本、もう満開の桜がある!」と思って、撮った写真を上に載せてるんだけど、よく見たらこれ、桜じゃなくてアンズだったんすよ。近づいてみたらわかるけど、ぱっと見、桜と同程度に楽しめて、花見が可能。つまり、軽い互換性がある。しかもアンズってことは、実がなるんすよね? 子供の頃によく木になっているアンズの実を食べたけど、けっこうおいしかった記憶がある。花見ができて、なおかつ食べられるんだったら、アンズは桜に対して上位互換性があるんじゃないかとすら思うのだが、それほど人気がないのにはそれなりの理由があるのだろうか。

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