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April 26, 2018

コンサドーレ札幌vsマリノス、「負けるための高度な戦術」というポストモダン・フットボール

トリコロール●うわわ、また負けた! 今年はワールドカップ・イヤーということでウィークデイにも試合が開催されてハードスケジュールが続くJリーグ、水曜日はアウェイでコンサドーレ札幌vsマリノス戦。ポステコグルー監督のハイライン、ハイプレスのハイリスク戦術はまだまだ続く。この札幌戦はこれまでの試合のリプレイかと錯覚するような展開だった。つまり、マリノスがひたすらボールをつなぎまくる。ボール支配率で相手を大幅に上回る。パスの本数は相手の倍以上。キーパーはペナルティエリア内よりも外にいる時間のほうがずっと長くて、1試合に7キロも走る。いつもゴールにキーパーがいないので、相手はやたらと超ロングシュートを狙う、しかもそれが本当にヤバイ。マリノスが先制する。相手が追いつく。相手が逆転する。最後はノーガードの打ち合いみたいになる。負ける。以上!
●さて、本気で残留争いに参加してしまっているマリノス、ここまでの戦績は2勝3分5敗で15位。前節からすでに15位で、これ以上沈むと降格ゾーンに入るところだったが、なんと下のチームがそろって負けてくれたおかげで、15位をキープした。ふー、助かった~。……じゃないっ! なんだ、この順位は。あのさ、今のメンバーのマリノスでフツーのサッカーしたら、4-4-2だろうが4-5-1だろうが3-5-2だろうが、どんな戦い方をしても中位くらいには留まるよ? なんで残留争いをしているかといえば、どう考えても、このスペクタクルな特殊戦術のおかげ。選手への要求度が高い最先端の戦術を必死で身につけた結果、負ける。いうならば、負けるための戦術。これをポストモダン・フットボールと言わずしてなんという。今日も試合後のインタビューで、ポステコグルー監督は「結果は伴っていないが、このままの戦術を続ける」と断言した。この監督はどこまで負け続けても、同じことを言い続けると思う。降格ゾーンに入っても、J2に落ちても、やっぱり「結果は伴っていないが、このままの戦術を続ける」と言うのではないか。そう言ってほしい。長年サッカーを見てきたが、こんな見ものはそうそうない。ポステコグルー監督と選手たちはこれからもこのクレイジーな戦術を信じ続けて戦ってほしい。これは伝説のはじまりだ。