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May 24, 2018

パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響のストラヴィンスキー

●23日はサントリーホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮N響。「三大バレエ」抜きのオール・ストラヴィンスキー・プログラムで、バレエ音楽「ミューズの神を率いるアポロ」、同「カルタ遊び」、3楽章の交響曲。先日に続いてあまり実演で聴けない曲を、精緻なアンサンブルと切れ味鋭いサウンドで堪能。
●「ミューズの神を率いるアポロ」は弦楽合奏の響きの精妙さが吉。この曲、ストーリー性が薄く、ツンと澄ましすぎていて近寄りがたい印象だったんだけど、やっと親しみを感じることができたかも。遠くで聴くより近くで聴くべき曲というか。「カルタ遊び」はこの日の白眉。この曲名、訳語はずいぶん昔についたんだろうけど、今だったら「カードゲーム」、あるいはもっと直接に「ポーカー」か。楽しくて、気まぐれ、というポーカー。ストラヴィンスキーは当時だれとポーカーをプレイしていたのだろうか。賭けのレートはどれくらいなんだろう。曲の主役はジョーカー。ポーカーでジョーカーを使うもの? この曲のワルツ、自分はウィンナワルツよりもラヴェル風って感じがする。「セビリアの理髪師」序曲を引用するのはなにか理由があるんだろうか。3楽章の交響曲は、ストラヴィンスキー版の「管弦楽のための協奏曲」。バルトークの傑作とまったく同時期に書かれていることに気づく。
●この日の弦楽器はパーヴォが好むいつもの対向配置ではなく、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと音域順に並ぶ配置。チェロを外側に置くのは、N響の主要指揮者ではデュトワくらいだったか。だんだんどれが標準的な配置とも言えなくなってきた。