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August 8, 2018

映画「ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー」(ロン・ハワード監督)


●もうほとんど上映が終わりかけている今頃になって、ようやく映画「ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー」を見ることができた(なんでワールドカップとかぶせて公開するのか)。ここのところ新作がポンポンと誕生してありがたみも薄れている「スター・ウォーズ」シリーズだが、今回は外伝に相当するアナザー・ストーリー第2弾。ハン・ソロの若き日を描く。ずっとこのシリーズを映画館で見てきた者としては、見ないわけにはいかない。
●で、ずばり、これは「スター・ウォーズ」がディズニーに移籍して以来、最良の作品だと思う。近年の「スター・ウォーズ」はどれも楽しく見たけど、本編にせよ外伝にせよ、どれもなにかしら無視できない問題を抱えていて、シリーズのファンとしてはどこか覚めた気分で眺めざるを得ないところがあった(聖典となった旧三部作のセルフコピーになっていたり、登場人物の自己犠牲が過剰だったり……)。しかし、今回の「ハン・ソロ」は久々にワタシたちの「スターウォーズ」が帰ってきたという気持ちになれた。良くも悪くも、古き良き冒険活劇で、これが「スターウォーズ」のテイストなんじゃないか。
●感心したのは、旧3部作の伏線がきれい回収できているところ。ハン・ソロだけじゃなくて、あのランド・カルリジアンも若返って登場する。ランドとミレニアム・ファルコン号の特別な関係と、それがハン・ソロの手に渡った経緯、ハン・ソロの名前の由来(これは映画「ゴッドファーザー」へのオマージュか)、チューバッカとの出会いなど、とてもよくできている。西部劇ばりの列車強盗を「スター・ウォーズ」の世界観で再現するという趣向も、すごく「らしさ」を感じる。
●あと、見逃せないのが、音楽の充実。旧三部作でジョン・ウィリアムズは伝説を築いたが、その後、ワタシの感じるところでは、新作が出るたびに鮮度が失われ、過去の遺産への依存度が高くなっていた。でも、この「ハン・ソロ」の音楽は久々にいいと思った。テーマもオーケストレーションも、正調「スター・ウォーズ」でありながら劣化コピーになっていない。音楽はジョン・パウエル。もっと早くから起用してくれればよかったのに!