August 27, 2018

雷光、神戸vsマリノス、久保の初ゴール、イニエスタ祭り未遂

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●昨夜、北の空がピカッ、ピカッとずっと光っていた。一瞬、花火でも上げているかと思ったが、音はしない。よく見ると雷である。音が聞こえないほど遠くで光っているのに、あんなに盛大に空が明るくなるとは。
●そんな雷光が予告するかのように、Jリーグの神戸vsマリノス戦は波乱の一戦となった。ポステコグルー監督のもと降格圏に沈みゆくマリノスに対して、楽天マネーパワーで潤う神戸はイニエスタとポドルスキが先発メンバーにいる目を疑うような豪華布陣。この二大スターに話題が集まりがちだが、ほかのポジションも着実に補強が進んでいるように感じる。監督は元マリノスの選手でもあった吉田孝行(いや、元フリューゲルスの選手だったというべきか)。順位も4位くらいかな。もう神戸は雲の上の存在だ。
●そんな戦力の充実した神戸が相手だけに、マリノスはいつものようにボールを保持できない。ポステコグルー監督の信条とする極端なポゼッション・サッカーをしようにも、個の力の差でボールを持てないんだから、どうにもならない。すると、どうなるか。マリノスが2対0で完勝した。出た、ポステコグルー監督の逆噴射戦術。シーズン当初から言っているように、ハイライン、ハイプレス、ハイリスクの過激戦術は、機能すると負けるが、機能しないとけっこう勝つ。いみじくも試合後のインタビューでポステコグルー監督が言ったように「前半はボールをある程度持てたが、後半は(守勢に回って)苦しい展開になった」。マリノスが2点を奪ったのは、その後半である。サッカーというのは自律的にボールを回してゴールを奪おうとすると果てしなくチャンスが遠いが、相手のミスを突いたりカウンターアタックをしたりすると、なんと簡単にチャンスがやってくるのであろうか。これがポストモダン・フットボールだ。つまり、戦術が競技戦術そのものへの批評性を有するという自己言及性がある。しかし、尊師ポステコグルーとともに絶食の荒行に臨んできた修行僧は、目の前に鰻重を差し出されたらなんの躊躇もなくガツガツと喰い始めてしまう。ポストモダンはもういい、勝点をくれ……と。
●マリノスはFC東京からローン移籍してきた17歳の久保建英が先発、期待に応えてJリーグ初ゴール。右サイドの松原からのグラウンダーのクロスを足元に浮かせてトラップして、これを左足でハーフボレーでゴール隅に突き刺したというビューティフル・ゴール。バルセロナのカンテラ育ちということで将来を嘱望される選手だが、17歳でゴールを決められたのはよかったんじゃないかな。だって、18歳になってしまったらニュース的に「天才感」がまったくなくなってしまうわけだし。17歳と18歳の違いは限りなく大きい。と、つい他人事のように論評してしまうわけだが、それはこの選手が借りた選手だから。どうせウチの選手にはならない。シーズンが終わったら、東京に帰っていくのか、スペインに帰っていくのか、なんだか「帰り先」がいくつもあるような選手で、マリノスとしては将来に向けて育てる意味がまったくない。今がすべて。だから、ゴールをありがとうと言いたい。同一ディヴィジョン内の若い選手のローン移籍って、こういうところが微妙なんすよね。
●神戸だが、さすがにイニエスタはレベルの違うプレイを連発していた。マリノスは特にイニエスタを厳しくマークするようなサッカーをしないので、前を向いてボールを持つたびに脅威を感じる。イニエスタがワンプレイするたびに楽天からメールマガジンが一通届くかのような迫力だ。購読を解除しても解除しても、一瞬の隙をついて新規にメールマガジンが届いてしまう、そんな抜け目のなさを正確無比なプレイに感じる。イニエスタは次々と決定機を作っていたのだが、ほかの選手がゴールを決められなかっただけである。もう少し決定力があれば、今頃チカチカする赤い画面を見つめながら楽天ポイント3倍セールで買い物をしているところであった。

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