October 17, 2018

ジョヴァンニ・アントニーニ&読響、ムローヴァのベートーヴェン

●16日はサントリーホールでジョヴァンニ・アントニーニ指揮読響。イル・ジャルディーノ・アルモニコ、バーゼル室内管弦楽団との録音で鮮烈な演奏を聴かせ、ベルリン・フィルにも客演したアントニーニを、日本のオーケストラで聴けるという僥倖。しかもヴィクトリア・ムローヴァが共演。特別客演コンサートマスターにベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の第一コンサートマスターで、アントニーニとも共演している日下紗矢子を配して万全の構え。
●プログラムはハイドンのオペラ「無人島」序曲、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(ムローヴァ)と交響曲第2番。期待通り、突風が吹き荒れるようなヴァイタリティあふれる快演。オーケストラはとてもコンパクトで10型(コントラバス3)、ヴィブラートを抑え、金管やティンパニに鋭いアクセントを付け、通常のモダン・オーケストラでできる範囲でのヒップな演奏だったが、まったく奇抜ではなく、どんな意匠を施すかというアイディアの一段先にあるベートーヴェンの音楽そのものに触れたという実感。ありていに言えば、パッションということなんだけど。ヴァイオリン協奏曲、ソロが登場するまでの長いトゥッティの間に、途中からムローヴァも加わって弾き出すと、そこで空気がハッと変わるのを感じずにはいられない。アントニーニの指揮ぶりはかなり独特で、膝を折ってしゃがんだり、両腕を左右対称に開いて肘から先ですくい上げるかのような、一見戯画的な姿なんだけど、出てくる音楽とスムーズに連動している。
●ヴァイオリン協奏曲、聴いている間はこの曲がベートーヴェン中期の最高傑作なんじゃないか、と信じることができる。初耳のカデンツァは、第1楽章、第3楽章ともにオッターヴィオ・ダントーネの作なんだとか。新鮮。ソリストのアンコールにバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番のサラバンド。21時前に終演したが、すさまじい密度の濃さで充足。
●なぜかニッポン代表の試合は行きたいコンサートと重なる率がすごく高い。なんとか結果バレせずに帰宅して、これから録画観戦。

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