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October 22, 2018

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮NHK交響楽団のマーラー

●19日はNHKホールでヘルベルト・ブロムシュテット指揮N響。ハイドンの交響曲第104番「ロンドン」とマーラーの交響曲第1番「巨人」というダブル交響曲プログラム。交響曲の「はじまりの終わり」と「終わりのはじまり」が並ぶ。前半のハイドン、オーケストラは10型の小編成だが、NHKホールの巨大空間でも予想外にしっかりと響く。緊密で推進力にあふれるハイドン。
●後半のマーラー、なぜブロムシュテットでマーラー、しかもパーヴォとの名演も記憶に新しいこの曲を?と思ったが、これも語り継がれるべき名演。パーヴォの「巨人」が音の動きそのもののダイナミズムを礎としたモダンな高層建築だとすれば、ブロムシュテット翁のマーラーは自然賛歌的、田園交響曲的な「巨人」というべきか。生を謳歌するクラリネットのカッコウ。そしてほとんどシューベルト的な歌謡性。終楽章は勢いがついてギリギリのクライマックスが築かれた感。客席から「ウォーー」と地鳴りのような喝采。こんなにNHKホールの客席がわき上がったのはいつ以来だろうか。ブロムシュテットのソロ・カーテンコールあり。休憩中には2階の売り場で書籍「ヘルベルト・ブロムシュテット自伝 音楽こそわが天命」が飛ぶように売れていた。N響定期のお客さんにマエストロがどれだけ敬愛されているかを痛感する。