January 30, 2019

神さまシンフォニー

●同じベートーヴェンでも「ミサ・ソレムニス」と「第九」はぜんぜん違うのだなあ。24日、東京オペラシティで鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンの「第九」を聴いた。同じ場所、同じ演奏者で一昨年に「ミサ・ソレムニス」の記念碑的な名演があって、今回は「第九」。年中行事化されていない、一期一会の貴重な「第九」。「ミサ・ソレムニス」は宗教音楽なんだけど、「第九」はやっぱり交響曲なんだなと思う、思いきり「神」が出てくるにもかかわらず。非キリスト者であっても、受け入れ可能などこのだれでもない神さま。第4楽章の少数精鋭の合唱に圧倒されつつ、そんなことをつらつら考える。
●昨日、橋本治が亡くなった。まだ70歳とは。ずっと前にオウム真理教の事件をきっかけに書かれた「宗教なんかこわくない!」を読んで、そこで(既存の集団的な)「宗教とはイデオロギーである」と言い切られていて、これには目から鱗。「イデオロギーとは」みたいな言葉の定義論は脇に置くとして、自分のなかではこの一言がすっきり腑に落ちた。この一言は宗教音楽をどう聴くかということにも直結していて、わたしたちが偉大な傑作に対して常に異教徒ポジション(平たく言えば、潜在的な「敵」の側)にあることを前提とした聴き方があるんじゃないか、ということを意識せざるを得ないようになったのは、この本を読んだことがきっかけだったように思う。

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