March 27, 2019

クシシュトフ・ウルバンスキ指揮東京交響楽団のショスタコーヴィチ

●25日の夜はサントリーホールでクシシュトフ・ウルバンスキ指揮東京交響楽団。久々に東響にやってきたウルバンスキは、相変わらず若々しくてカッコいい。滑らかなんだかぎこちないんだかわからない独特の指揮姿、指揮台での小刻みなステップは健在。プログラムはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」(ヴェロニカ・エーベルレ)とショスタコーヴィチの交響曲第4番。小編成による端正なモーツァルトも悪くはないんだけど、後半が強烈すぎてぶっ飛んだ。特大編成のショスタコーヴィチ。木管楽器を見ると、首席オーボエの位置がぐぐっと右に寄っている。なぜならフルート属が6人もいるから。フルート4にピッコロ2。持ち替えじゃなくてピッコロだけでふたりっすよ。フルートと約分できないのかね、と心の中のミニマリストが悲鳴を上げる。しかしウルバンスキが振ると、ホールの天井が震えそうなくらいの轟音でも響きのバランスが保たれて見通しがよいのが吉。恐ろしくて、美しい。コーナーギリギリを猛スピードで走り抜けるかのような第1楽章のフガートは爽快。
●ショスタコーヴィチの交響曲第4番を聴くと、これが続く第5番のパロディであるかのように感じる。未来の作品に対するパロディというありえないポジション。しかもより真実味を感じるのはパロディのほう。
●演奏後、客席が明るくなりいったん拍手が止んだ後、退出する楽員に向けてふたたび拍手が起きた。あれ?と思ったら、退団する首席フルート奏者甲藤さちさんへの拍手。プログラムノートにお知らせが載っていた。後半の頭で起きた拍手もそういう意味だったのかとようやく気づく。苛烈きわまりないショスタコーヴィチの後で、ステージと客席の間に生まれる温かい空気。
●ニッポン代表は親善試合でコロンビアとボリビアと対戦。両試合についてはまた改めて。

ショップ